●職場で伝えるべき内容を本人に尋ねる

 赤ちゃんとの死別を経験した社員自身に、職場の同僚にどのように伝えてほしいか、誰が伝えることを望むかを尋ねる。マネジャーがチーム全体にメッセージを送信するのがよいか、それとも自分自身で直接伝えたいか、あるいは信頼できる同僚に伝えてもらいたいか。あなたが断りなく勝手に話すことは避けなくてはならない。

 特に大きな会社では、必要な情報が広まるまでに時間を要する場合がある。そこで、本人が何を望んでいるかという手がかりを社内で周知することが助けになるかもしれない。

 たとえば、子どもを失った経験について尋ねられたくないという人もいるだろう。一方、尋ねられることによって、会話の中で赤ちゃんの名前を口に出し、思い出したいという人もいるだろう。どのやり方が正しい、あるいは間違っているという話ではない。赤ちゃんを亡くした社員のニーズと要望、そして本人が選んだやり方を尊重することが肝要だ。

 ●本人の意向に従う

 悲嘆のプロセスは、きちんと段階を追って進むわけでもなければ、決められたスケジュールに沿って進むわけでもない。人々が示す反応は、実にさまざまだ。時間を経るにつれて、当事者が抱くニーズや感情が移り変わる場合もある。最善のアプローチは、相手の助けになるにはどのような行動が好ましいかを、折に触れて本人に確認することだ。

 たとえば、次のように言うことができるだろう。「あなたが戻ってきてくれて嬉しいです。いろいろと大変だと思います。私やチームで何か力になれることはありませんか」

 仕事をすることで気がまぎれることをよしとする人もいれば、しばらくは仕事のペースを落としたり、負担を軽減したりすることを望む人もいる。本人の希望を勝手に決めつけたり、事前の相談なしに仕事の内容やスケジュールを変更したりすべきではない。

 子どもを失って悲しみに暮れている親にとって、職場復帰は非常に大きな負担を伴う場合もある。したがって、1日の勤務時間の間に、休憩を取ったり、散歩に出たり、パートナーに電話をかけたり、信頼できる同僚と会話をしたりしてもまったく問題ないのだと、あらかじめ伝えておくことだ。また、会議の途中で突然離席したくなったり、家に帰ったりしたくなった場合には、そうしてもらって構わないと伝えておくのがよいだろう。

 我が子を亡くしたばかりの社員は、職場復帰をしても、働くことの意義を見出せずにいる場合がある。やがて心境が変わるだろうが、差し当たりは、あなたが支援することによって、相手の回復を助け、その人の組織コミットメントのレベルを高めることができるはずだ。