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大きな注目を集めた一連のツイッター買収劇をきっかけに、イーロン・マスクの戦略に対して関心が高まっている。テスラ、スペースXなど、これまで彼が手掛けた数多くのビジネスを分析すると、その戦略は3つの共通するテーマによって特徴づけられていることがわかる。本稿では、3つの共通するテーマを明らかにすることで、マスクが何を考えて行動しているのか、考察していく。


 イーロン・マスクがドラマティックであり、時にけんか腰で不可解に思えるツイッター買収劇を繰り広げている間に、筆者らの元には彼の信奉者と批評家の双方から同じような疑問が多数寄せられた。

 そもそも、なぜ彼はツイッターを買収したかったのか。この会社を使って何をするつもりだったのか。彼は大金を手に入れるのか、それともすべてを失ってしまうのか。

 多くの疑問は、次の一点に集約できる。彼は一体、何を考えているのだろう──。別の言い方をするなら、マスクはただ闇雲に動いているだけなのか、それとも何らかの戦略があるのだろうか。もし戦略があるのなら、それはどんな戦略なのだろうか。

 テスラ、スペースX、ハイパーループ、オープンAI、ボーリング・カンパニー、そしてニューラリンク──これらマスクの手掛けてきたビジネスからは、よくも悪くも多くを学ぶことができる。筆者らはイノベーションとテクノロジー、成長のための戦略に関する研究と教育を通して、マスクの行動には奇抜ながらも(ある程度の)目論見があると見ている。

 マスクの戦略は、3つの共通するテーマによって特徴づけられている。まず、解決すべき問題の何が彼のビジョンに合致しているのか。次に、そうした問題へのソリューションとして、彼がどのように組織をデザインしているか。そして、そのようなソリューションのために、なぜあれほど効果的に資金を調達できるのか、である。

 彼の多面的なビジネスにおける戦略、そしてその戦略に伴う重大なリスクを理解すれば、経営者はその教訓を自身の画期的な事業の立ち上げや成長に活かすことができる。また、投資家もこれらの発想を活用することで、Web3やメタバースといった新興市場で起業家に出資する際、より深く検討した上で、意思決定を下せるようになる。

 現在、マスクはツイッターの買収から手を引こうとしているものの、このフレームワークを知れば、より広い文脈で彼の戦略をとらえる視点も得られることだろう。