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「自社の戦略は正しいが、実行力に劣る」と思い悩むエグゼクティブは少なくない。リーダーシップの欠如、人材不足、優れたプロセスの欠如……と、実行できない理由をさまざまに挙げるが、そのままでは、トーマス・エジソンの名言にあるように「実行を伴わないビジョンは、ただの幻覚だ」。筆者らはこの課題に対して、そもそも戦略実行を阻む要因に対する理解不足を指摘する。本稿では、組織デザインの観点から、適切な実行システムを構築するための3つのステップを提案する。

 

 ギリシャ語の「ストラテジア」(Strategia)とは「将軍の技」を意味し、古来、複雑な戦闘の目標を達成する能力を指す表現だった。

 現代のビジネス界における「戦闘」といえば、デジタル・トランスフォーメーション戦略の実行、人材争奪戦での勝利、あるいは他者に先駆けてみずからをディスラプトすることなどが含まれる。

 いずれにせよ、実行可能でなければ、有効な戦略とはいえない。まさに「実行を伴わないビジョンは、ただの幻覚だ」というトーマス・エジソンの名言通りだ。

「不完全な志」と「不完全な実行」を区別するのは難しいが、企業の大半が実行力に課題を抱えていることはわかっている。ある調査では、「自社の戦略実行力は低い」と評価する従業員が全体の6割に上った。

 自社の戦略は「正しい」と思うが、実行の面で問題があると嘆くリーダーも多い。逆に「戦略は間違っているが、実行力は優れている」と語るリーダーに、筆者らはいまだ一度も会ったことがない。

 同様に、実行を阻む潜在的要因を深く探っていくと、さまざまな要因への理解が足りていないことがわかる。その結果、「リーダーシップの欠如」「人材不足」「優れたプロセスの欠如」、あるいはいまも根強く支持されている「企業文化は戦略に勝る」といった言いわけが、常に繰り出されることになる。

 筆者らは組織デザインの専門家として、多くのエグゼクティブが実行に関する課題に正面から取り組みたいと願っている状況を熟知している。本稿では、適切な実行システムを構築するカギとなる3つのステップを提案しよう。