2. 組織を明確化する
適切な志のレベルを選択し、その達成に必要な主要能力を理解できたら、それを実行に移すための主要課題に組織を向かわせることができる。
オペレーティングモデルは、戦略の追求がどのような形でエグゼクティブチームに委ねられるかに関して、ハイレベルなモデルを提供してくれる。オペレーティングモデルを構築するには、以下の3つの問いが有用だ。
●組織のどのユニットが戦略のどの部分を担当するか、特定できているか
オペレーション上の選択は戦略ごとに異なるが、組織が直面する重要な選択は2つの軸に集約でき、それらを組み合わせることで組織ユニットのハイレベルなセットを構築することができる。
・組織として達成すべき戦略目標のうち、志に基づく重要なサブセットは何か。それらの目標を、どのようにグループ化するのが最適か。多くの場合、複雑な組織は地域や製品の種類、顧客のタイプ別に分類された多数の異なるビジネスユニットで構成されている。そのロジックを、いかにして自社の戦略に組み込めるか。
・これらのグループを横断する戦略的能力として、必要なものは何か。そのような共有のリソースは、どのようにグループ化され、管理されるか。
適切に行われれば、すべての主要な戦略目標と能力の担い手が明確になり、「互いに排他的でありながら、全体として網羅的」なレベルの明確さに到達できる。
●重要なユニット間に適切なインタラクションが構築されているか
組織について重要な選択を行ったら、次は重要な相互依存を認識し、積極的に管理する必要がある。ビジネス上のサブ目標が異なれば、管理すべきトレードオフも異なってくる。組織全体の調整には、稀少なリソースをどのように配分するか、共有されているサポートや能力をどのように割り当てるかについて、明確なガバナンスが欠かせない。
このようなトレードオフを積極的かつ明確に管理することが、極めて重要だ。戦略の手腕とはつまるところ、異なるサブ目標のバランスを上手に取りながら、はるか遠くの目標を達成することである。
●適切な人材を適切な役割に割り当てているか
オペレーティングモデルを推進するのは、エグゼクティブチームだ。つまり、主要なリーダーが戦略の主要なサブ目標を担当する。そして、彼らにはその任務を遂行する責任がある。
第1の任務は、適切な役割を設定することだ。役割とは、目標や決定権、インセンティブを、大まかにグループ化することにすぎない。
第2の任務は、主要な役割にエグゼクティブの人材を割り当てていくことだ。必要なオペレーティングモデルを構築したうえで、現在の人材がニーズに合っているか否かを確認するほうがよい。多少のリスクを冒したり、多少のギャップに対応したりすることはあるだろうが、ギャップが大きすぎる場合には、新たな人材あるいは新たな戦略が必要になる。