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クライアントや同僚との会議やコミュニケーションの中で、相手からの強い言葉や予想外の発言を受け、慌てたり動揺したりして、その議論を自分が想定していない形で終えてしまった経験はないだろうか。本稿では、不意に強い言葉や発言を受けても、自分の姿勢と説得力を保つための4つのフレームワークを提示する。すなわち、神経を集中させ、憶測をせず、対話を始め、自信を持って議論を終わらせるというものである。議論中にこのフレームワークを意識することで、思慮深く、自信を持った対応につながるだろう。

攻めの姿勢と説得力を保つための4つの戦略

「優れた攻撃は最高の防御である」という格言は、チェスやスポーツ、戦闘などで使われるが、ビジネスにも当てはまる。相手の言葉や態度に不意を突かれ、身構えてしまうピンチは山ほどある。気難しいクライアントからはプレゼンの途中で理不尽な質問を浴びせられ、役員からは投資案件について徹底的に質問され、上司からは自分の担当した重要な仕事をにべもなく却下される。

 落ち着いて冷静に対応しなければならないことはわかっている。感情的になっても、問題に対処できることはほとんどない。印象も悪くなる。

 それにもかかわらず、自分自身を過小評価してしまうインポスター症候群が頭をもたげる。自信を失い、自分がすきだらけの弱い人間に思えてくる。疲労や不安、ストレスで、すでにいら立ちを覚えている時には、いっそう拍車がかかる。コロナ禍のトラウマ、不安定な仕事や雇用、最近のニュースなどでそのような状態になっている人は多いだろう。

 落ち着きを保ち、頭をクリアにし、確信を持って発言し、強さを見せるには、何が必要なのだろうか。言い換えれば、「優れた攻撃」とはどのようなものだろうか。いざという時に攻めの姿勢と説得力を保つために、次の4つの戦略を役立てていただきたい。

最初の衝撃の後、神経を集中させる

 クライアントや同僚から強い言葉や予想外のことを言われると、脳の扁桃体が闘争・逃走反応を活性化させ、ストレスホルモンであるアドレナリンやコルチゾールの急増を引き起こす。筆者も、顔を真っ赤にし、呆然とし、涙ぐんでいる人たちを見たことがある。

 瞬時に起こるこの生物学的反応を止めることは難しいが、それが何であるかを認識すれば、それ以上感情的になるのを防ぎ、落ち着いて神経を集中できるようになる。

 好奇心を奮い起こし、相手が何を考えているのか、指摘の中身に注意を向ける。そうすると、自分ではなく相手に意識が移る。そして、このように言ってみる。「ご意見をいただきありがとうございます。私とは別の視点をお持ちのようですので、もう少し詳しくお聞かせ願えますか」

 筆者のクライアント、レベッカ(本稿では、プライバシー保護のため仮名を用いている)は、経営会議の最初に、端的にこう打ち出した。「私の提案は、皆さんの洞察、経験、アイデアを取り入れた後、さらによいものになります」。そう発言したことで、自分が最初に反応するのではなく、相手の考えを知ろうとする視点へ、みずから意識を移すことができた。また、自分の提案に対するこだわりが減り、その結果、感情をコントロールできるようになった。

 対面する前に相手のことをよく調べておくことだ。相手が言い出しそうな質問や、抱えていそうな問題点、課題について考える。自分自身についても同様だ。どのような話題や人物が苦手なのかを知る。そして事前に打てる手がないか(たとえば、回答の準備や、その相手へのブリーフィングに時間を割くなど)、その場でどのように対応するのがベストかを検討しておく。筆者の知る企業幹部の中には、頭の中で、または信頼できる同僚を相手に、さまざまなシナリオをリハーサルする人もいる。

 本番では、次のようなテクニックを使って感情をコントロールし、状況を正しく見極めてほしい。