・相手にあまり気づかれないように深呼吸をする。
・姿勢を正して座る。背筋を伸ばし、両足を床につける。どちらも、頭の働きを良くする効果がある。
・「私はいらいらや不安、怒りを感じている」のように、心の中で自分の反応に名前をつける。そうすると、自分と反応との間に距離を置くことができる。
・レジリエンスと自信を手に入れるため、ほかの困難な状況にうまく対処できた時のことを思い出す(「まかせておけ」と自分に言い聞かせる)。「ピンチを切り抜けた最高の自分」という日記をつけるようにすると、そうした記憶をいつも鮮明に保っておける。
・冷静さを保つことが大切だと思い出させてくれる「賢明な擁護者」、つまり自分自身の声や、信頼し尊敬している人の声を呼び起こす。「これは、私にとってすごく重要な問題であるはず。解決策を見つけることが肝心だ。感情には流されない」と自分に声をかける。
憶測をしない
人は誰かに「攻撃されている」と感じている時、相手が自分から権威を奪い、立場を弱め、人前で困らせようとしていると思い込んでしまうことがよくある。そして、いつもそうだと考えてしまう過度な一般化や、必要以上に大事にとらえてしまう、あるいは自分のせいにしてしまう。その結果、攻撃に圧倒されてしまう。「これはまずいことになった……望んでいた昇給や昇進はもう望めそうにない」などと考える。
グローバルIT企業の上級幹部であるアンナは、頭の回転が速い人だった。ところが、反対意見や厳しい質問に遭うと、脳が暴走して、相手が自分をどう思ったかについて、あらゆる憶測をした。そして圧倒され、萎縮し、質問に十分な対応をすることができなかった。こうした状況を一緒に振り返り、筆者は彼女に、思い込みの一つひとつの原因は何か考えさせた。すると彼女はすぐに、それが相手の言ったことや、伝えていたことではなく、インポスター症候群のせいだと気づいた。
人が議論好きであったり、批判的であったり、せっかちであったりするのには、さまざまな理由がある。その日、嫌なことがあったのかもしれないし、その人のスタイルなのかもしれない。そのテーマが重要だと考えているがゆえに、提案者の考えや論点、エビデンスの質を見極めようとしているのかもしれない。
思い込みはできるだけ避けるべきだ。相手がなぜそのように介入したのか、そこに他意はあったのかどうかの判断は、会議が終わってからゆっくり確認すればよい。その場は、相手の意見を聞くことに集中する。そして、「どのように修正すれば、その懸念を解消できるでしょうか」「あなたなら、まず何から始めますか」などのように、要を得たストレートな質問で、建設的な提案を促す。
ボディランゲージや言葉の分析に気を取られないよう、目の前の話題に集中する。構造的アプローチを使って相手の意見の説得力を見極める。
・その話題や視点について、何を伝えようとしているのか。本当に言わんとしていることは何か。
・相手の立場の根拠は何か。ファクトと、ファクトを相手がどう解釈しているか、仮説と信念のバランスはどうか。
・相手の主張はどの程度説得力があり、自分の提案にどの程度影響があるか。