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これまで人工知能(AI)を使う余地がなかった企業においてもAIの導入が進み始めている。同時に、人間が経験と認識と直感に基づいて、機械に教えることができる環境も整いつつある。このように、AIに人間らしい性質を与えることによって、戦略は大きく飛躍する。本稿では、AIと戦略を結び付け、飛躍を果たした企業の戦略に共通する3つのポイントを掲げる。

AIが戦略にもたらすイノベーション

 人と機械との関わり合いにおいて、根本的に人間らしいアプローチを用いることで、イノベーションの基本的な構成要素に関する前提が覆されつつある。

 具体的には、これまでAIを使う余裕がなかった企業も、一連の状況をシミュレーションするための「合成」データの生成能力のような、スモールデータの新たな有用性に手が届くようになり、AIの能力を大規模に活用できるようになっている。

 機械が大量のデータ処理を通じて「学習する」のではなく、いまや人間が経験と認識と直感に基づいて、機械に教えることができる。つまり、組織全体でより多くの人々が、自分の専門知識をもとにAIを新しい方法で活用できるのだ。

 その結果、大局的にはどうなるのか。モバイルコンピューティング、AI、IoT(モノのインターネット)、数十億もの機器で構成されるハイパーデジタルの世界で、テクノロジーとデータと人材を織り交ぜることができる「生きたシステム」が、煩雑な旧型のITアーキテクチャーに取って代わる。

 この発展によって、戦略にイノベーションを起こす大きな可能性が開かれた。とはいえ、根本的に人間らしいテクノロジーが可能にする新しい戦略へと劇的な飛躍を果たした企業は、ごく少数である。

 大いなる可能性を秘めた新たな戦略には、次の3つが含まれる。いつまでもベータ版(Forever Beta)、必要最小限のアイデア(Minimum Viable Idea: MVI)、コ・ラボ(Co-lab=協働ラボ)である。これらを現在導入している企業の事例とともに、それぞれを詳述していく。