
暴力的な出来事を見聞きすれば、誰しもメンタルヘルスに影響を受ける。悲惨な事件に関する報道が続き、SNSでもそのような記事ばかりを追うようになれば、ストレスや不安は増すばかりである。被害者が自分と似たような属性の場合には、トラウマになることさえある。本稿では、職場におけるメンタルヘルスの観点から、残酷な事件や衝撃的な出来事に遭遇した時に、リーダーが部下と自分自身をサポートするための5つの処方箋を紹介する。
衝撃的な出来事が起きた時、マネジャーが部下と自身をケアする方法
2022年5月、米テキサス州ユバルディのロブ小学校で起きた悲惨な銃乱射事件は、幼稚園児と小学2年生の母親として非常に身につまされるものだった。筆者の子どもたちの教室はどちらも学校の入り口に近いこともあり、2022年に入ってから何度も不安に襲われている。想像を絶する悲劇だという人もいるが、残念ながら、あまりにも容易に想像できるものになってしまった。
その直前には、カリフォルニア州ラグーナウッズの教会で銃撃事件が発生し、ニューヨーク州バファローのスーパーマーケットでは黒人の多く住む地域を狙った大量虐殺が起きていた。ユバルディ後の週末だけで、米国では少なくとも8件の銃乱射事件が発生している。これは、あまりに多すぎる。
このような暴力的な出来事の後では、誰もがメンタルヘルスに影響を受ける。たとえその場にいなくても、トラウマは現実のものだ。
一定期間続く報道やSNSで悲観的な記事を読んでしまう傾向とが相まって、ストレスや不安は増大しやすい。暴力や暴力への恐怖は、トラウマと有害なストレスを引き起こし、メンタルヘルスを悪化させる要因になる。仕事をしていても、それらすべてが魔法のように消えてなくなるわけではない。
職場のメンタルヘルスに関する文化を変えることを推進する非営利団体、マインド・シェア・パートナーズの創業者兼CEOである筆者にとって、職場のメンタルヘルス向上を図る雇用主の支援だけでなく、自分自身のチームをケアすることも大切な仕事だ。本稿では、残虐な事件や衝撃的な出来事に遭遇した時に、マネジャーやリーダーが部下と自分自身をサポートする方法について紹介する。