すべての行動を誠実に

 最新のMicrosoft Work Trend Indexでは85%の従業員が、最高の仕事をするために必要な上司の資質として「信頼性」(オーセンティシティー)をそのトップに挙げている。幸い、BDMの83%も「上級管理職が信頼性を示すことが重要だ」と答えている。全体として信頼性に対する意識の水準は比較的高いのである。

 では、信頼性とは実際にどのようなものか。信頼性は組織のトップから生まれる。リーダーは、オープンで、誠実で、共感できるつながりを実現するような、信頼できる文化の基盤をまず整えることだ。リーダーとして、オープンさとインクルーシビティ(包摂性)を真摯に伝え、自分はソーシャルキャピタルの構築を支援するために存在することを示し、そのような文化の手本となるのである。

 マイクロソフトでは、従業員に自分らしさを存分に発揮するよう求めており、それは心理的安全性が確保されている場合にのみ実現できる。特に、過小評価されているグループの人には、同じような人が周囲にいないかもしれない。

 すべての従業員が安心して、仕事の関係を超えた深いレベルでつながりを持てるような文化や職場環境を、どのようにつくることができるか。筆者は、このことをリーダーとして常に自問している。

 信頼性の文化やコミュニケーションは、物理的な空間を超越しなければならない。これからは、従業員が毎日オフィスにいるわけではない。居住地によっては出社は月に1回、四半期に1回、あるいは出社することが決まっていないこともあるかもしれない。

 企業がインクルーシブな基盤を失わないためには、つながりを持つ場所を増やす必要がある。過小評価されているグループの従業員は、リモートワークを好む傾向があるため、彼らがどこで働いていてもすべての従業員とコミュニケーションが取れるように、リーダーは配慮することだ。

 ポッドキャストなどのマルチメディア形式や社内フォーラムでの対話は、継続的な会話と双方向の対話を生み出し、つながっている、情報に接している、仕事に集中しているという感覚を維持しやすくなる。

 たとえば筆者は、チーム全員が集まる会議におけるリアルタイムの質疑応答では、いつも対応し切れないほどの質問を受ける。会議が終わっても会話を打ち切る必要はない。リーダーシップチームと筆者は、マイクロソフト・マーケティング・フォーラムで未回答の質問をフォローアップして、議論と情報の流れが途切れないようにしている。

 私たちは誰もが、ハイブリッドワークを適切に行う方法を学んでいる最中だ。今回の調査から明らかなように、従業員同士のつながりを促進して人を中心に据えることが、オフィスの新しい役割のカギになる。


"To Get People Back in the Office, Make It Social," HBR.org, September 22, 2022.