サステナビリティ担当のプロジェクトマネジャーを置く
これまでプロジェクトリーダーの役割といえば、プロジェクトによって成果を生み出すことだった。つまり、新しい顧客サービスプラットフォームを実現するなど、「何か」を生み出す責任だ。一方、顧客定着率を10%上げるといったプロジェクトを行う「理由」を考えるのは、組織の責任者やシニアリーダーだった。この責任の分担(筆者は「実行/価値ギャップ」と呼ぶ)は、多くのプロジェクトが目標を達成できずに終わる原因となってきた。
サステナビリティプロジェクトは、成功させることがいちだんと難しいかもしれない。なぜなら、あらゆるプロジェクトがそうであるように、リソース不足や計画の甘さ、エグゼクティブからの支援不足、イニシアティブの多さ、ほかの戦略的重点課題との兼ね合いといった問題があるからだ。また、サステナビリティプロジェクトには、以下のような特有の課題もある。
・サステナビリティ問題に詳しい専門家は不足しており、それがボトルネックになる可能性がある。
・事業計画にサステナビリティ目標が盛り込まれていても、設備投資やオペレーションについては、従来の財務指標に基づいて決定される。
・サステナビリティ関連のデータや指標(プロダクトやプロジェクトの推定カーボンフットプリントなど)の入手、標準化、統合化、モニタリングが難しい。
・サプライヤーは、ある組織のカーボンフットプリントの最大の発生源であることが多いが、ほかにも顧客がいたり、オペレーションの中核に対応する手段がなかったりすると、影響を与えるのが難しい。
この漠然とした状況下で、より持続可能なビジネスを実現するために、プロジェクトマネジャーやプロジェクトリーダーが重要な役割を果たす。したがって、プロジェクトマネジャーやプロジェクトリーダーが柔軟にプロジェクトを管理できるよう、経営幹部が環境を整えなければならない。プロジェクト管理の伝統的な「鉄のトライアングル」、すなわち時間管理、予算管理、品質管理から脱却するのだ。
サステナビリティは、硬直的な計画立案や伝統的なプロジェクト目標では実現できない。これらの目標を革命的な方法で達成できるように、プロジェクトマネジャーを解き放つ必要がある。そのための3つのステップを紹介しよう。