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小売業界全体にとっての大きな転換点
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、アメリカンイーグル・アウトフィッターズに大きな打撃を与えた。
当初、自宅に隔離された人々は、最新のファッションアイテムを買うことにほとんど興味を示さなかった。買い物をするにしてもオンラインだったため、小売業者は自分たちがコントロールできない流通経路に従来より依存するようになった。その後、パンデミックと政府の景気刺激策に呼応して、家計から記録的な金額が商品購入に費やされた。その結果、物流の停滞と運送費の値上げに至った。
運送費の度重なる値上げは、不当な価格転嫁と見なされる水準にまで達した。そしてアメリカンイーグルと競合他社の一部は、UPSから荷物を取り扱わないと通告された。フェデックスやUPSをはじめとする全米の運送会社に荷物が殺到し、利益の少ない顧客を切り始めたのだ。
こうしてアメリカンイーグルは、これまで長い間取引を行ってきたことに加えて、膨大な販売量があるにもかかわらず、UPSから見放された。当時、アメリカンイーグルでサプライチェーン担当エグゼクティブバイスプレジデント(EVP)を務めていた筆者のナタラジャンは、こう思わずにいられなかった。「フェデックスも私たちを見放したらどうなるのか」
この不安はアメリカンイーグルにとって、そしておそらく小売業界全体にとって、大きな転換点になった。アメリカンイーグルはEC物流をより費用対効果の高い方法にするなど、サプライチェーンを主導的にコントロールする必要があると考えた。
そして、この決断は戦略の変更につながった。流通を管理するために、ファッションアパレル以外の市場で競合する会社やブランドと提携しなければならなくなったのだ。