多様な人間関係のポートフォリオを築く

 リモートワークによって、人との接触の幅が狭まった。主に直接仕事をする同僚に限定されるようになり、部門横断的なつながりは25%も減っている。そのために、孤立感と単調さが増した。この2つこそが、エネルギーを使い果たす要因なのである。

 リーダーは、チームメンバーが部門の壁を越えて、まったく別の仕事をする同僚とつながる機会を設けることができる。そのような体験を通じて、従業員は同僚や自分自身について新しいことを学び、エネルギーを得ることができる。

 カルッチのクライアントの一人は、「相手の立場に立とう」というプログラムを始めた。そのプログラムでは、隣接部門の同僚との間で毎週、ピアメンタリングのセッションを行う。

  当初の目的は、異なる部門の従業員のつながりを強化することにあった。想定外だったのは、その過程で従業員が実に多くを学んでいたことだ。このプログラムによって、それぞれの仕事への取り組みが変わり、それまで考えもしなかった水平方向のキャリアパスが開かれたのである。

「大丈夫でなくても大丈夫」と
みずから率先して示す

 マイクロソフトで実践されているマネジメントプラクティスには、コーチングやケアリングとともに、モデリングがある。リーダー自身が、自分のウェルビーイングを大切にしていることをチームに見せることは、最高の模範の一つになっている。

 仕事のストレス、あるいは不安や燃え尽き症候群(バーンアウト)などの問題に、あなた自身がどのように対処してきたかをオープンに話そう。リーダーが自分のウェルビーイングにまつわる弱さをさらし、ただの人間であることを認めると、従業員も安心して苦しい時に苦しいと言える、無理に明るい態度を示す必要を感じなくなる。

 もし会社のウェルネス関連の福利厚生に助けられた経験があるならば、どのように役立ったかを伝えて、チームメンバーにも活用することを勧めよう。あなた自身が模範となり、セルフケアを実践すれば、その重要性がチームに伝わり、チームメンバーもあなたに倣うようになるだろう。