パーパスドリブンのキャリアに関する
対話を始める

 この2年間を通じて、誰もが仕事により深い意味を見出したいと願うようになった。従業員は、これまでより大きな影響力を発揮するために成長したいと考え、機会を欲している。

 自身のキャリアについて上司と話したいと思っていても、みずから口火を切ることに躊躇することがあるだろう。リーダーのほうからキャリアについての対話を始め、そのような対話をルーチンにすれば、従業員を大切に思っていることを示すことができる。リーダーが主導することで、「将来の抱負について話したい」という従業員の願いを正当化し、居心地の悪さを取り除くことができる。

 このような対話では、従業員が今後向上させるべき領域について、配慮しながらフィードバックをするとよい。そうすれば、従業員はチャンスが巡ってきた時に、すぐに応じられるだろう。

 リーダーは、もっと広範な取り組みを企画することもできる。たとえば、筆者の一人であるホーガンのチームがマイクロソフトで設けた「ディスカバー・デイズ」では、あらゆる部門の従業員が広範なキャリアのチャンスにアクセスし、社内の人材市場に自分を周知することができる。

 さらにリーダーは、特に優秀な人材が退屈していないかどうかにも目を配らなくてはならない。そのような人材への最大の支援は、組織内でさらに挑戦しがいのある役割を見つけることだろう。そうすれば、優秀な人材を外部にある機会に奪われることを防止できる。

相互ケアと帰属感を培うため
儀式や習慣をつくる

 リモートワークは、従業員の孤立感を深めた。孤立感は、特にエネルギーを枯渇させる有害な要因である。孤独は、困難な問題のストレスを増幅させる。チームのリチュアル(儀式や習慣)をつくることで、リーダーはチームのエネルギーを補充する責任を一人で背負わずに済むだろう。

 強い絆で結ばれたチームでは、リモートであろうと対面であろうと、そこにいたくなるような場がつくられる。同僚との深いつながりを感じると、仕事に活気が出て、楽しくなる。

 ホーガンのリーダーシップチームは、従業員が直面している困難や個人的な苦労について、安心して打ち明けられる場をつくった。チームメンバーは、家族の問題や健康上のニーズをはじめ、仕事以外で抱えている悩みや不安も自由に話す。そうすることで、従業員は必要な時に安心して助けを求め、仕事を離れる必要がある時にカバーし合う計画を立てられるようになった。

 カルッチのクライアントの一人は、定期的にチームミーティングを開き、チェックイン時にさまざまなリチュアルを行っている。たとえば、その日に感謝していることを話したり、その時に感じている気持ちを一言で表して共有するのだ。やがてチームそのものが、エネルギーを取り戻し、回復したい時に向かう避難所になっていく、というわけだ。