余裕のあるオペレーションのメリット
コストコやクイックトリップなど成功している小売業者は、
模範的な小売業者は、ビジネスにおける変動性が不可避であると認識しているため、余裕のあるオペレーションを行っている。顧客は従業員の仕事を中断させ、配達はいつも時間通りに来るとは限らない。従業員が病気になることもあれば、天候の変化で仕事量にばらつきが生じる可能性もある。
小売業者にとって、人手不足のコスト(業務遂行とサービスがおろそかになり、顧客に損害を与え、従業員やマネジャーの離職率を高める)は、人員が過剰である場合のコストよりも高くなる。クイックトリップでは、自社の高い水準を満たせるだけの人員を確保するため、「リリーフ従業員」を設けている。誰かが病気になったり、緊急事態が生じたり、休暇を取った時に、代わりを務める専任の従業員だ。
パンデミックによって、これらの小売業者も困難な状況に陥ったが、人員に余裕を持たせていたことで、多くの競合他社とは異なり、営業を続けることができた。
余裕のあるオペレーションは、優れたオペレーションを実現するうえで必要不可欠だ。従業員は的確に仕事をこなし、ミスも少なくなる。顧客からのフィードバックに耳を傾け、継続的な改善に取り組み、適切な人材を採用し、教育する能力が生まれる。しかし、時間通りに出勤しない、やる気がない、よい仕事ができないなど、「余裕がありすぎる」従業員がいては、余裕のあるオペレーションは実現できない。
「グッド・ジョブズ・ストラテジー」を採用している企業は、適切な人材を集め、長期にわたって雇用し、彼らのモチベーションを高め、生産性と全体的なパフォーマンスの向上に向けて仕事を設計するため、最大限の努力をしている。
鉄道会社もこうした取り組みを参考にすべきだ。連邦政府の措置でストライキは回避できたが、まだ危機を脱したわけではない。人手不足が労働者や顧客に悪影響を及ぼし、企業の活力を奪う危険な問題であることに変わりはない。効率と低コストを追求するあまり、高い代償を払っていることを認識すべき時が来ている。
"U.S. Railroads and the Pitfalls of Systematic Understaffing," HBR.org, December 09, 2022.