4. インフルエンサーのオリジナリティ

 インフルエンサーの特徴として最後に注目したのは、オリジナリティである。他の人やブランドが作成したコンテンツをシェアすることが多いインフルエンサーもいれば、自分のオリジナルコンテンツを投稿することが多いインフルエンサーもいる。

 オリジナルコンテンツの割合が多いインフルエンサーは、そうでないインフルエンサーよりも目立ち、注目を集め、知識が豊富で本物らしく見える傾向がある。結果として、そのようなインフルエンサーを起用したブランドのほうが、一定のマーケティング費用に対するエンゲージメント率が高かった。

 具体的には、インフルエンサーの過去の投稿の中でオリジナルコンテンツが占める割合を測定したところ、オリジナル率が平均より1標準偏差高いインフルエンサーの投稿は、ROIが15.5%高いことが明らかになった。

5. メッセージの肯定度

 マーケティングキャンペーンで最も難しい要素の一つが、口調や論調といった「トーン」だ。肯定的なメッセージを伝えたいが、やりすぎると逆効果になりかねない。これは、従来のチャネルに限らず、インフルエンサーマーケティングにも当てはまる。

 消費者は、肯定度の高い投稿にエンゲージしやすい。なぜならば、インフルエンサーが強く支持していることが伝わるからだ。しかし、あまりにも肯定しすぎて、逆に不誠実な印象を与えることになれば、その投稿に対する反応はそこまでよいものではなくなる。たとえば、以下の投稿では、アウディのインフルエンサーは非常に肯定的なトーンを用いている。

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 この投稿は、肯定的になりすぎる危険性を示す一例だ。この投稿には4000ドル以上の費用が投じられたが、一度もリポストされることはなかった。対照的に、化粧品ブランドであるクリニークのインフルエンサーが書いた次の投稿は、中程度に肯定的かつ効果的なトーンで、低コストでありながら、かなりのエンゲージメントを獲得した例である。

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 また、この分野については、多くの企業にとって、少なくともいくばくかの改善の余地があることもわかった。筆者らが調査対象とした投稿は、最適な度合いよりもわずかに肯定寄りの傾向があったため、それを抑えれば、ROIを平均で1.9%高められたはずだった。