
164億ドルのインフルエンサー市場で
最大限の効果をどう引き出すか
2022年、インフルエンサー市場は164億ドルに達した。コカ・コーラがファッションや旅行のインフルエンサーとコラボレーションした「#ThisOnesFor」キャンペーンや、ディオールがファンデーションの「フォーエヴァー」シリーズのプロモーションのために多様なインフルエンサーと提携して受賞した「67 Shades」キャンペーンのように、75%以上のブランドがインフルエンサーマーケティングに特化した予算を組んでいる。
だが、インフルエンサーへの投資には、本当にそれだけの価値があるのだろうか。
この問いに対する答えを見つけるために、筆者らは国際的なインフルエンサーマーケティングエージェンシーの協力を得て、中国の人気ソーシャルメディア微博(ウェイボー)上に展開されたインフルエンサーマーケティングの投稿、5800件以上を分析した(中国市場を調査対象にしたのは、世界で最も進んだインフルエンサーマーケティング市場の一つであるためだが、今回の分析結果は世界の多くの市場にも当てはまると考えられる)。
調査対象となったのは、2412人のインフルエンサーが、29の製品カテゴリーにわたる861ブランドのために上げた投稿で、費用は1投稿あたり200ドルから10万ドル近くになるものだ。実際、インフルエンサーマーケティング費用が1%増えると、エンゲージメントが平均で0.46%高まることが明らかになり、この戦略によって投資利益率(ROI)にポジティブな影響が生まれる可能性が示唆されている。
しかし同時に、ほとんどの企業がかなりの価値を取りこぼしていることも明らかになった。筆者らが調査した企業は、インフルエンサーマーケティング予算の割り当て方を最適化するだけで、エンゲージメントを平均で16.6%高められたはずなのだ。具体的に、インフルエンサーマーケティングのROIを左右する7つの主要要素と、それぞれの影響をまとめたのが下図である。
企業がキャンペーンでインフルエンサーを起用する際に、これらの7つの要素を最適化し、エンゲージメントを平均で16%以上高める方法を以下に詳説する。