チームの立ち上げを活用して
違いの重要性を強調する

 異なる年齢層の人々がパーパスを共有していれば、団結してモチベーションを高められる。ただし、年齢の違いによる差異を受け入れ、活用することも同様に重要である。たとえば、新チームがスタートするタイミングでは、特にそうだ。

 優れたチームは、過去に一緒に仕事をした経験があるメンバー同士であっても、新たなプロジェクトごとに必ずキックオフミーティングを行う。そうすることで、年齢や勤続年数、人生経験、キャリア上の経験などに伴う強みをはじめ、各自の得意分野についての認識を共有できる。

 プロジェクトベースの働き方でないチームの場合、リーダーは定期的に「リキックミーティング」の時間を確保しよう。予算を更新する時期や、年次の戦略レビュー、新人がチームに加わったタイミングなどを目安にするとよい。

 新規プロジェクト発足の際には、チームメンバーにスコアカードを作成させ、各自が貢献できそうな点について、それぞれの立場から説明してもらおう。たとえば、ベビーブーマー世代のティナは「このような顧客やあのような顧客に、何十年にもわたってサービスを提供してきた」という話を、ミレニアル世代のバーニーは使い慣れている生産性ソフトウェアについて語る、という具合だ。

 このスコアカードをキックオフミーティングの土台として活用することで、チームに必要な英知を確実に見出し、認識することができる。そうなれば、声の大きな人や雄弁な人に頼らなくても、メンバーから常に「これは誰が詳しいか」という質問が出るようになる。

 年齢に関連する(あるいはその他の)差異をその後も活かすために、筆者らは、ディレクターやシニアマネジャーが、チーム内で最も信頼できる人物(つまり、チームメンバー全員の利益を最も考慮できる人物)をプロジェクトコーディネーターに任命するよう推奨している。コーディネーターの役割は、各自の潜在能力を理解し、それを発揮させること。つまり、期待値と現実を照らし合わせ、ギャップがあれば、その原因を探る。

 そのうえで、スマートコラボレーション、つまり適切な人材による、適切なタイミングでの貢献を融合させることができれば、イノベーションが生まれ、顧客満足度が高まるはずだ。そして、それが収益向上と顧客との絆の強化につながり、チームメンバーの間により深いパーパスの認識と達成感が広がっていく。

 たとえば、あるテック企業の一部門が、異なる世代同士のコラボレーションを強化する方向でチームの再構築を行い、チームのパーパスを設定した。すると、チームとしての満足度が向上したほか、顧客の満足度も極めて高くなり、他部門よりも優れた業績を上げることができた。