共通のパーパスを設定し、活用する
パーパスの重要性は、マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査でも浮き彫りにされている。米国在住の会社員の約3分の2が、コロナ禍が人生の目的について考えるきっかけになったと回答したのだ。
また、パンデミックが自身の仕事内容を見直す機会になったと答えた人の割合が、ミレニアル世代は他の世代の3倍に上った。ある教育ソフトウェア企業の上級幹部は筆者らに、「我が社の上級管理職は、ミレニアル世代から『社会正義に貢献しないのなら、なぜこの仕事に時間を割く必要があるのか』と反撃されて、うろたえる経験をたびたびしている」と語った。
筆者らは幅広い業界にまたがる多数のグローバル企業と仕事をするなかで、そうした世代間ギャップを認識し、世代間の橋渡しに意識的に取り組むリーダーほど、結束力が強く活力にあふれた職場をつくれる可能性が高いことに気づいた。
タウンミーティングを開催し、多様な世代が入り混じったグループ(6~8人程度)ごとに、パーパスに関する一連の質問に共同で答えてもらう。質問の焦点は、各自のパーパスと会社のパーパスを結び付けること。そうすることで、社員は自分や自分の仕事がどういう形で会社のパーパスに貢献しているのかを理解できる。
たとえば 「日々の生活で最も大切にしていることは何か。それがこの会社でのあなたの業務にどのように結びついているか」といった質問だ。
こうしたファシリテート・セッションで浮かび上がるのは、互いの価値観が当初思っていたよりも似通っているということだ。「家族」「個人としての成長とプロフェッショナルとしての成長」「世界をよりよい場所にすること」といった返答が多く聞かれ、そこから、そうした重要項目の実現に向けて職場がどうサポートするかという話題につながっていく。
その結果、あらゆる世代の人々が自分の声を聞いてもらえたと感じ、仕事に主体的に取り組めるようになる。これは、社員が会社に留まり、実りある貢献をするために不可欠な条件だ。働く意義を強く感じられる業務に従事することは、6カ月以内に会社を辞める確率を69%減少させ、一人当たり年間9078ドルの追加利益を生み出すとされる。