3. 対象の障害に直面している場合:自分の学習ナビゲーターを作成する
物事を学ぶ方法は、かつてなく増えている。学習の対象と方法の選択肢があまりに多すぎて、行動を起こせない人も多い。
そこで、「学習ナビゲーター」(図表を参照)が役に立つ。これを用いれば、自分に適した有益な学びのために、何を学べばよいかを判断しやすくなる。具体的には、優先的に学習する対象を絞り込むうえで、持っていることが望ましいスキルと、持っていることが不可欠なスキル、そして、現在の役職に関係があるスキルと、将来の役職に関係があるかもしれないスキルを区別することが重要だ。
この作業を行うことにより、図表の右上の領域、すなわち「現在」の時点で「不可欠」なスキル以外のさまざまな学習課題を明らかにできる。また、4つの領域すべてに共通するスキルも見えてくる。それを参考に、どこから学習に手を付けるべきかを考えればよい。
4. 場所の障害に直面している場合:進歩の道筋を描く
職場で得られる選択肢が必ずしも明確でない場合、諦めの気持ちを抱きがちだ。筆者らが以前の記事で指摘したように、社内にあるさまざまな役職についてよく知らなかったり、昇進に関して求められる手続きが多すぎたり、影響力のある立場の人たちによる支援が乏しかったりすると、キャリアアップのためには、その職場に留まるよりも、退職するほうが近道だと感じるかもしれない。
しかし、状況に左右されることなくみずからの成長の道筋を自分で描き、新たな可能性を引き出していくべきである。その具体的な方法は、以下の通りだ。
・社内で実現したい機会を一つ記す。
・次の問いに答える。「その機会が私にとって重要な理由は……」
・重要な成果を得る方法を3つ考える。
たとえば、このような感じだ。
・初めてチームリーダーの役割を担いたい。
・その機会が私にとって重要な理由は、ほかの人たちの成長を助けることが好きだから。
・その成果を得るための方法は以下。
1. 新入社員をサポートする
2. キャリアの初期にある人たちにメンタリングを行う
3. 新しいプロジェクトのリーダー役を買って出る
このアプローチを実践することにより、一つの方法に囚われることなく、現在の職場でキャリアを発展させるためのさまざまな方法に目を向けることが可能になる。
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社内の組織改編、レイオフ、やりがいの欠如など、遭遇する試練の数々は、キャリアアップの行く手を妨げる大きな障害に感じられるかもしれない。しかし、そうした試練を障害と考えるのではなく、機会に目を向けたほうがよい。キャリア開発のさまざまな可能性を解き放つために、クリエイティブなアプローチを実践しよう。いま自分のキャリア開発のために投資すれば、困難な局面でもその恩恵に浴せるだろう。
"What's Holding Back Your Career Development," HBR.org, December 21, 2022.