自社のエンジニアを「解放」する

アーマー・ベイグ、シカゴ

 テック業界では大半の企業がレイオフと緊縮策を進めている。したがって2023年、テック企業のリーダーは、より少ない労力でより多くを達成することを求められるだろう。

 ここでの落とし穴は、自社の技術者に対し、単純にさらに多く働くよう求めてしまうことだ。むしろ目指すべきは、彼らの仕事を少なくすること──つまり事務作業、官僚的な仕事、手作業を減らすことである。

 多くの大規模組織において、エンジニアは自分の時間の50%しか実際の開発に費やしていないことが我々の調査で判明している。何千人ものエンジニアを抱える大企業で、これがわずか10%でも改善したらと想像してみよう。生産性を大幅に改善する余地がそこにはある。

 CIOは、エンジニアリングという職務の設計と運営を、より科学的かつ体系的に行うことで、それを実現できる。具体的には以下のような方法が可能だ。

・チームの構成についてさらに熟慮し、優秀な者は誰なのかを把握する。エンジニア個人の業績は、チーム間で2~3倍の差が出る場合もある。

・エンジニアの仕事から、集中力を阻害する要因をどれだけ排除できるか考える。会議の削減や、「アジャイルセレモニー」(アジャイルプロセスの中で定期的に行うミーティング)をさらに生産的に行うといった、比較的単純な措置でも多くの時間が解放される。

・エンジニアの重荷となる、手作業という苦難をなくすための自動化に尽力する。テストやコンプライアンスの自動化は、エンジニアの能力を解放して、好きな仕事をしてもらううえで大きな効果を発揮しうる。

 これは生産性だけの問題ではなく、人材にも関わることだ。一流のエンジニアを自社に引き付けたいならば、エンジニアが望む仕事ができるような職場環境を構築する必要がある。