2. キャリアアップの道筋を示し、動機付ける

 Z世代は現実的で、雇用の安定と昇進に関心がある。ピュー・リサーチセンターによると、「Z世代の最年長層(18~23歳)の半分が、自分または家族の誰かが新型コロナの流行によって仕事を失うか、給料をカットされたと報告している」という。

 そこで、業績評価の基準や、優れた業績とはどのようなものかを理解して、いかに期待以上の成果を上げるかが重要になる。このようなZ世代の従業員は、昇進するために何を求められているのか、どうすれば自分の将来を自分でコントロールできるのかを知りたがっている。個人として貢献しながら、将来のリーダーとして成功するためにはどうすればいいかを、彼らに説明しよう。

 たとえば、あなたの会社がマトリックス組織なら、人間関係の構築や影響力、チームのコラボレーションが全体のパフォーマンスにどのような影響を与えるかを説明する。そして、成功とは結果だけでなく、仕事の進め方や周囲への影響も含まれることを教えよう。

 給与の公平性も、Z世代にとって優先度の高い要素だ。給与に関するグループディスカッションを行い、この「ハイパーコグニティブ」(超認知能力)世代に組織へのコミットメントの意味を伝える。

 ティックトックで11億ビューと約2100万の「いいね!」を獲得しているアカウント「サラリー・トランスペアレント・ストリート」では、米国のさまざまな都市で働く人々が自分の職業と給与を公開している。Z世代は互いに給与情報をオープンにしているため、雇用主に対しても、よりオープンに情報を共有して、給与の公平性に対する組織のコミットメントを示してほしいと考えている。給与やキャリアアップについてオープンに会話することは、Z世代にとって大きな意味を持つだろう。

3. 個人の貢献がいかに重要かを説明する

 マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、Z世代は目的志向だという。個人の貢献やチーム内での役割が組織のミッションをどのように支えているのかを知りたがる点は、彼らの特徴でもある。世の中に与える影響を考えて、キャリアを選択し、購買活動を行うのだ。

 そこで、マネジャーは、チームのビジョンと組織への影響について話し合う場を検討する必要がある。私たちの誰もが、仕事をするうえでの自分の役割や責任を理解しなければならないが、Z世代は特に、自分の役割がどのように、そしてなぜ重要なのかを理解したいと考えている。そうした議論を促進するために、たとえば次のような方法がある。

・各メンバーに、自分ならではのスキル、能力、成長分野について、他のメンバーと簡単に共有するように促す。また、どうすれば最も貢献することができ、成長の機会を得られるのかについて、一人ひとりに提案やアイデアを求める。

・一人ひとりがチームにどのように貢献し、全体にどのような影響を与えているかについて対話をする。このエクササイズは、Z世代の努力が社会貢献のためにどのような役割を果たしているか、視覚化しやすくしてくれる。

 さらに、組織の広範な目標がどのように世の中にプラスの影響を与えているか、時間をかけて説明する。これは、企業が社会の利益より自分たちの課題を優先し、金儲け以上の野心を持たないという彼らの認識を塗り替えるのに役立つだろう。