4. 自主性を与えて、モチベーションを維持する
情報に自由にアクセスできる環境で育ったZ世代は、十分な情報を得たうえで、自分で決断することを求めている。そのためには、自分の力を証明する機会が必要だ。彼らのモチベーションを維持するため、マネジメントのスタイルを柔軟に変えながら、彼らが仕事のプロセスの改善点を探し、考えられる余裕と自主性を与えよう。そうすれば期待されている以上の結果を出してくれるかもしれない。
テクノロジー、ソーシャルメディア、人とつながりたいという欲求など、Z世代の強みを活かす機会をつくる。それこそが、彼らのエンゲージメントを高めながら、リーダーのビジョンに彼らを引き込む新しい方法になる。
5. 具体的で建設的なフィードバックを行い、彼らの成功に投資していることを示す
年1回のフィードバックは、
たとえば、次のような問いをZ世代の直属の部下に聞いてみよう。
・ある状況において、成功とはどのようなものか。
・特定のワークストリーム(仕事の効率を上げるための一連の流れ)やプロジェクトから何を学んでいるか。
・チームの課題は何か。改善のための提案はあるか。
彼らが状況認識力を高められるようなサポートもする。Z世代の多くにとって、対人で仕事をすることや、建設的なフィードバックを直接受けること、仕事上の人間関係を築くことは初めての経験だ。自分の行動がチーム全体に与える影響を理解していないかもしれない。職場で成功するためのレジリエンスと感情的知性(EI)の築き方や、人生を通じた自己啓発の一環としてフィードバックを受け止めることに関する、グループディスカッションやトレーニングの実施を検討してほしい。
6. コミュニティとつながりを利用し、エンゲージメントを高めて力を与える
ニューヨーク大学スターンスクール・オブ・ビジネス教授で社会心理学者のジョナサン・ハイトによれば、「つながりが強い世代ほど孤独である」という。Z世代は、テクノロジーとソーシャルメディア、スマートフォンで最もつながっている世代であり、最も孤立している世代でもあるのだ。
米医療保険大手シグナの孤独指数報告書によれば、「18~22歳の労働者のうち(中略)73%が時々、あるいは常に孤独を感じている」という。 Z世代の従業員の多くはリモートワークやハイブリッドな生活しか知らないため、直接会って、長い時間をかけて築くような深い仕事上の関係を得る機会が少なかった。
マネジャーは、彼らが希望するハイブリッドまたはリモートワークの仕組みを選択できるように、働く場所の自律性を認めてみてもいいだろう。選択の自由は、従業員のエンゲージメントを高めることが証明されている。ただし、チームビルディングの活動、プロジェクトのキックオフ、チームのお祝い、ビジネスの現状についての議論など、つながりと仲間意識を築く対面の交流の機会もつくること。このようなチーム体験を共有することによって、より強い絆を育みやすくなる。
チームビルディングには対面の交流が理想的だが、意図的に遠隔地で行うことも効果がある。たとえば、就業時間内にバーチャルな「コーヒータイム」を企画してチームのメンバーが気軽に交流できるようにしたり、チームミーティングでメンバーの貢献度を評価したりするのもいい。
ミレニアル世代とX世代の従業員がメンターになるプログラムを設け、世代を超えた橋渡しをして、年齢層を超えた有意義なコラボレーションを促進することもできる。さらに、管理職がZ世代のチームメンバーとペアを組み、常にサポートが得られるような「相棒」プログラムも考えられる。これは相互に恩恵がある。ギャラップの調査によると、職場に親友がいることは従業員のエンゲージメントと仕事の成功のカギになるという。こうした環境は「収益性、安全性、在庫管理、定着率など、ビジネスの成果と強く結び付いている」のだ。