1. 強い集中力

 これは粘り強さ、強い意志、忍耐とも呼べるだろう。挫折に直面した時、彼女たちは自分の内なる気力を上手に利用して短期的な困難を、より高い目標に向かう流れの中の要素として位置づけることができていた。

 リディアの場合、投資会社のCEOになるという決意が揺らぐことはなかった。キャリアのあらゆる機会を、その目標を達成するための機運をつかむ場と考えていた。

「HRから技術、オペレーション、管理、営業、マーケティングまで、さまざまな経験をしてきたおかげで、ビジネスのあらゆる部分を知り、成長することができました。年金運用業務にも携わり、銀行業界から保険業界に移り、そこでも経験を積みました。自分が望む役割のために、能力や経験を組み立てることが大切なのです」

2. 絶えることのない学習意欲

 彼女たちは学ぶ能力を示すだけでなく、新しい経験や挑戦、知識を得る機会を求めて意欲的に行動してきた。

 現在、上場企業の社長兼CEOを務めるメアリーは、弁護士としてキャリアをスタートさせた。その後、規制関連業務を取りまとめ、さらにファイナンスの責任者になったが、ファイナンスの経験はまったくなかった。

「自分より数ランク下のアナリストたちに、ファイナンスを基礎の基礎から教えてほしいと頼みました」。彼女は的確な質問を投げかけ、データを厳しく精査し、采配を振るい、ついには会社の株価を高騰させるに至った。

 マーラは、敷地面積560エーカーの医療研究施設を擁する大規模な医療地区の元CEOだ。「不動産のことは何も知りませんでした。組織をどう変えていけばいいかもわからなかったのです。それでも、私は医療について知識があり、専門家のチームを取りまとめ、目標に向けてマネジメントする方法も知っていました」

3. アジャイルなマインドセット

 今回、筆者らが話を聞いた女性たちは、状況を素早く判断して進むべき道を決めるというように、柔軟な思考を発揮していた。自分のキャリアを考えて、自己変革を図ったり、取り組むプロジェクトを変えたりした。

 30歳を前にバイスプレジデントになったジェンの場合、CAO(最高総務責任者)になるまで、キャリアの扉は常に開かれていた。CAOとして非常に優秀だったジェンだが、CFOとなると、誰も自分がふさわしいとは見てくれなかった。実際、2つの会社で2回、CFOに就任する機会を逃していた。

 信頼できるアドバイザーに相談したところ、自分の仕事や成功、評判を、CFOとして見てもらえるようにつくり直す必要があると考えるようになった。

 そこで、もう一度転職し、新しい会社ではファイナンス部門の顧客網構築に取り組み、製品チームと協力して機能の優先順位を決めて、他のCAOに売り込み、欧州で事業を運営した。このような幅広い実績のおかげで、あるグローバル企業のCFO兼社長の座をつかんだのだった。

 これはまさに、アジャイルなマインドセットだ。つまり、目標に到達するための新しい選択肢や方法に対して、柔軟かつオープンに対応することである。

 興味深いことに、筆者たちが話を聞いた黒人女性は誰もが、これら3つの行動すべてに取り組んでいた。彼女たちは自分の仕事の世界で孤独を感じており、自分のキャリアの勢いを維持するために、友人や家族をはじめ、仕事以外のコミュニティの力を借りている。

 さらに、忍耐やジレンマについても語っていた。コミュニティの人々を助けるために自分が成功しなければならないというプレッシャー、自分の失敗が家族に影響を与えるだけでなく、私生活においても仕事面においても、黒人コミュニティにその結果が反映されてしまうというプレッシャーを抱えているという。