自分にとって安全な場所
旅行すること、働くことが法的に認められている国でも、安全に関わる他の側面も検討しなければならない。たとえば、ある男性同性愛者は、海外を旅行中、どうしても夫と一緒に行く気になれなかった場所があったという。欧米の多くの国や地域などのように、一般的にLGBTQ+の人々の権利が守られているところもあれば、そこまで温かく歓迎されないところもある。特定の活動や発言を犯罪として法律で明文化している国や地域もあれば、そこまで厳格ではない国や地域もある(しかし危険であることに変わりはない)。
同様に、女性の一人旅が安全でないと感じられる場所も多くある。たとえば、あるオンラインフォーラムでは、女性たちがアフリカ、中南米、アジアの一部の地域での一人旅は不安だったとコメントした。
もちろん、旅行には何らかのリスクが付き物だ。だが、性別、民族、宗教、性的指向、政治的意見など、アイデンティティに起因して起こりうる問題は、認識しておきたい。そのためには、関係する法規制や、現地の文化的規範を調べたり、友人や家族の旅行体験談を聞いたりするとよいだろう。
行きたい場所
安全で法律上も問題なく行ける場所の候補が決まったら、いよいよここからがお楽しみの時間だ。さあ、どこへ行こうか。ビーチ、山の上、にぎやかな都会。夢見ているのはどのような毎日だろうか。言葉が難なく通じる場所、あまり仕事をしなくても暮らしていける場所、むしろ言葉の壁があったほうがよいだろうか。好きな(または嫌いな)料理や食べ物、または娯楽や社会的な活動も決め手になるかもしれない。
これはあくまでも個人の選択であり、正解はない。自分にとって何が本当に大事なのかを見極めることが大切だ。サーフィンやヨガ、語学の習得など、追求したい趣味や興味ありきで選ぶのもよし。ノマドコミュニティが確立している場所を探すのもよし。
デジタルノマドに優しい国として知られるクロアチアでは、政府がリモートワーカーを支援する目的で、さまざまなイベントや取り組みを行っている。ほかには、オクトーバーフェスト、ワールドカップ、春節など、文化的な行事やお祭りに参加することを目的にしてもよい。この機会にじっくりと自己分析をして、自分が優先したいものに一番合った場所を見つけよう。
ステップ2. 上司を味方につける
デジタルノマド生活を始めてみようと決意し、それが安全で法的に可能であることが確認できた。次にクリアすべき大きなハードルは、雇用主(組織における上司や、フリーランスであればクライアント)を説得することだ。
リモートワークの根拠を挙げる
現在リモートワークをしていない人は、まず自分の仕事でどのような形のリモートワークが可能かを判断する必要がある。だが、もし可能だと思っても、むやみに上司に話しにいったり、慌ててメールを送ったりしてはいけない。話の持っていき方と、詳細なプランを入念に準備したうえで、上司や関係する同僚に、対面での話し合いを申し込む。
その面談ではまず、リモートワークが自分と組織の両方にとって、どのようなメリットがあるかを説明する。競合他社がリモートワークを導入しているかどうかといった業界標準を調査し、事例を用意しておく。
次に、自分自身の状況について掘り下げ、やっている仕事やパフォーマンスという具体的な文脈において、リモートワークがなぜ効果的であるかを説明する。さらによい仕事ができるようになるのか。生産性が向上するのか。リモートワークを認めると、組織全体にどのようなメリットがあるのか、個人的な見解とともに、それを補完する明確なデータや定量的なエビデンスを示し、反対する余地がないようにする。
最後に、スケジュール、必要な機器、進捗の確認と報告の方法など、立てておいたリモートワークの詳細な計画を共有する。後は上司からのフィードバックに備えよう。