残念ながら、多くの求職者は法的に何が許容され、何が許容されないかを知らない状態で面接に臨む。実は、「希望の給与額」に近い質問である「現在の給与(または以前の給与)はいくらですか」「前職でいくらもらっていましたか」を聞くことは、米国の多くの州で違法とされている。

 過去の給与の推移を尋ねることが地域によって違法なのは、その質問が給与格差を生み、性別や人種の不公平を助長することが研究で明らかになっているためだ。米国内でこの質問が禁止されている州のリストはこちら(こうした法律は変更されたり、運用が異なる場合があるため、住んでいる地域の最新情報を確認してほしい)。

 以下では、会話の流れを変えるテクニックを2つ紹介しよう。

1. 質問をかわし、相手の予算について尋ねる

 ダンラップは、次のような内容で返答することを勧めている。

「現時点では職務の全容を理解していないため正確な額を提示できませんが、御社がどの程度の給与レンジを想定されているのか伺いたいです」

 面接官が給与の予算について率直に話してくれた場合、相手はその額があなたの希望に合致しているかどうかを知りたい可能性が高い。だがこの時点では、以下のような曖昧な返答でかまわない。

「お伺いできて参考になりました。もし私が採用される場合、交渉の余地はありますか」

2. 質問から離れ、自分の資質の話題に戻る

 次のような表現で、自分の資質に関する話題に戻そう。

「私は、業務内容を完璧に理解したいと思っているところです。自分の資質と、このポジションにふさわしいと思う理由について、もう少しお伝えさせてください」

「私にとってはお答えしにくいご質問です。よろしければ、この職務に対する私の資質についてお話ししたいのですが」

 こうした返答をすると、質問から逃げようとしている、あるいは回答を拒んでいると思われるのは確実で、あなたも面接官も居心地の悪さを覚えるかもしれない。それでも、リスクを考慮すれば、一瞬のぎこちなさに耐える価値は十分にあるだろう。