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あなたの会社は
計画的な人員削減ができているか
大退職時代(グレート・レジグネーション)
計画的な人員削減とは、時間をかけて組織内の従業員や顧客の数を減少させるものだ。この戦略を大いに活用しているのが学校で、熱意のある学生たちは応募した時点から自分の在籍期間が有限であることを理解しており、それが本来あるべき姿だといえる。なかにはより長く在籍する学生や、学内で長期的な任に就く学生もいるが、ほとんどは数年で去る。それは、学校がその役割を果たしたということであり、肯定的にとらえられている。
しかし、多くの企業はそのような運営をしていない。面接やオンボーディングでは、従業員が無期限で勤務することを前提に話が進められる。現代の労働者の平均勤続年数は4年程度であることを互いに認識しているが、実際にはその事実を覆い隠しているのだ。従業員が退職する時は、高校時代の恋人との破局のように気まずいものになる。両者ともその時が来ることを認めず、それに備えてもいない。
幸いなことに、計画的な人員削減の概念を受け入れている雇用主も少なくなく、そのシステムは「アップ・アンド・アウト」とも呼ばれている。たとえば、マッキンゼー・アンド・カンパニーなどでは、人員削減は否定的にとらえられていない。従業員はマッキンゼーに入社した当初から、最高のパフォーマンスを発揮しても昇進できない可能性があることを知っている。シニアポジションの数は限られているため、退職を促される人もいるのだ。
アップ・アンド・アウトのポリシーは、透明性を高め、皮肉なことに安心感を与える。マッキンゼーの求職者のうち内定を得るのはわずか1%だといわれており、同社に入社して素晴らしいキャリアの土台を築き、別の会社での出世につなげたいと考える人は少なくない。マッキンゼーを去った後も、成功を収めているアルムナイコミュニティの一員となり、それが彼らのキャリア形成の指針となる。
アルムナイが強力な企業のブランドをつくる
マッキンゼーの元従業員が執筆した、同社のエンプロイヤーブランド(職場としての企業の魅力度)を称賛する論文は珍しくない。特に、企業のエンプロイヤーブランドは、現在および過去の従業員の経験に直接影響されるため、アルムナイによるこうした肯定的な評価は重要だ。その結果、前向きなエンプロイヤーブランドは、一部の人が抱いた否定的な側面を軽減することもできる。元従業員が退職した会社を称賛すれば、人々は注目する。
その中には、同じように野心的で勤勉な求職者がいて、彼らは自分のパーパスや帰属意識を高めてくれる場所を探している。そして、求人に応募し、アップ・アンド・アウトのサイクルを繰り返すのだ。その一方で、アルムナイは交流を続け、かつての仕事を積極的に紹介する。
このようにして、たえず動いている円滑なプロセスが生まれる。人々は会社に加わり、ベストを尽くし、昇進を果たすか、よい条件で去っていく。一部の人は数年後か数十年後にブーメラン社員となって戻り、元雇用者の体験や能力を高めるかもしれない。そうしてエンプロイヤーブランドは自然と強化され、より生産的になっていくのだ。
計画的な人員削減を通常のプロセスにする
どのような組織改革でもそうだが、優秀な人材を失った痛手を和らげるには、時間と労力が必要だ。しかし、退職する従業員を不当に扱わないプロセスを構築できれば、より前向きな文化を生み出し、エンプロイヤーブランドに好影響を与えることができる。
学校の例えを覚えているだろうか。あなたの会社を、前途有望な人材が学び、成長できる場所と考えたらどうだろう。あなたはキャリアアクセラレーターとして、アップ・アンド・アウトのシステムを構築することができる。まずは、以下のステップに取り組んでほしい。