バーンアウトの兆候に注意を払う

 より少ないリソースでより多くの結果を出すことを求めるプレッシャーは、リーダーとチームにダメージを与える。過剰労働とバーンアウトを生む原因になるのだ。対策としては、有給休暇の取得柔軟な勤務時間の導入も有益だが、より広い視野に立って、メンバーの身になって物事を考えることも忘れてはならない。

「バーンアウトに陥らず、感情面の疲弊をマネジメントするための重要な手段の一つは、チームの文化をマネジメントすることです」とスミスは語る。「必要なのは、信頼と支援です」。職場における心理的安全性を育むために、特段の努力を払わなくてはならない。「人々は、自分が気遣ってもらい、排除されておらず、失敗しても批判されたり処罰されたりしないと思える時、一生懸命仕事をしようという気持ちになるものです」と彼女は言う。

 ファウラーによれば、マネジャーはメンバーとのやり取りすべてに気を配るべきだという。「自分にこう問いかけましょう。『私にはどのような選択肢があるのか。すでに下した選択はどのようなものか』」と、ファウラーは言う。「マネジャーは、いつも追い詰められているように感じがちです。でも、見落としてはならないのは、選択肢は常にあるということ。そして、メンバーとのやり取りの仕方を改善する道は必ずあるということです」

頭に入れておくべき原則

すべきこと

・メンバーの自律性を高め、メンバーの成長につながる経験を提供し、やりがいのある仕事をする機会を与える方法を探そう。

・メンバーと一対一で話す時間を増やそう。それを通じて、メンバーが仕事をするうえで必要な情報とリソースを得られるようにすること。

・スター社員のエンゲージメントを維持するために、特段の注意を払おう。不確実性の高い時期には、業界の未来に関心を持っているメンバーを確保しておきたいからだ。

避けるべきこと

・激しいストレスを抱え込まないようにしよう。マネジャーが自分を大切にしていなければ、影響はメンバーにも及ぶ。

・メンバーの恐怖や不安を無視しないようにしよう。メンバーが感じている不安について率直に語り合い、チームのみんなで過酷な時期を乗り切ることのメリットを強調すべきだ。

・メンバーを価値の小さい仕事で疲弊させないにしよう。代わりに、やる気を抱けるような価値の大きい仕事に集中できるようにする。


"Keep Your Team on Track Amid Cost-Cutting, Layoffs, and Uncertainty," HBR.org, August 16, 2023.