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同僚からの妨害や被害を上司が取り合ってくれない
「ゲッティング・アロング」(Getting Along)は、職場のエキスパートであるエイミー・ギャロがよくあるやっかいな人間関係の問題に対して、折り合いよくやっていく、あるいは円滑な関係を築くためにアドバイスするコラムである。
不当な扱いを受け、敗北感を感じているあなたへ
あなたと同僚の間に起きていることを、上司が認めようとしない。それがどれほど落胆させられることか、想像に難くありません。その同僚は、私の著書『困った上司・やっかいな同僚』で分類している8つのやっかいなタイプのうち、「社内政治家」に近いようですね。このタイプの人は出世に執着し、そのための手段を選びません。特徴的な行動としては不当な功績を主張したり、権力者の機嫌を取ったり、権力を誇示するために情報をため込んだりします。
もちろん、誰でもある程度は社内政治に関与しなければなりません。昇進や昇給、重要な任務、経営幹部からの注目をめぐる競争があります。支援や資金を確保するために、自分のアイデアや成果を主張しなければなりません。ただし、あなたの同僚がやっていること──自分のキャリアを何よりも優先し、その過程であなたの信用を落とすこと──は、成功するために必要な範囲を超えています。その行動は無礼の域に入っているといえるでしょう。
ここでは、あなたにできることについて話していきます。まず、上司をもっと巻き込む方法を探ります。そして、上司が介入するかどうかにかかわらず、あなた自身とあなたのキャリアを守る方法を考えましょう。
上司の協力を得るために
上司がどちらかの味方になることをためらう気持ちも理解できます。ひいきしていると思われたくないのです。今回の目的は、上司があなたの言い分を完全に信じることでも、あなたの「味方」になることでもありません。実際、彼女が行動を起こすために、現状についてあなたとまったく同じ理解をしている必要はありません。
上司との会話を進めるうえで目標を一つに絞りましょう。「上司に同僚の問題ある振る舞いと向き合ってもらうこと」、まずはそれを目指します。そのためにあなたができることがいくつかあります(すでに試している戦術もあるかもしれませんが)。
仕事に及ぼしている影響を明確にする
同僚との問題を具体的なビジネスの実績と関連づけることができれば効果的です。上司が関心を持つような言い方で、その同僚がチームのパフォーマンスにどのようなダメージを与えているかを明確にし、あなたの主張を裏づける証拠をできる限り示します(文書化については後述します)。その人物が組織やチーム、またはあなたのキャリアに対してどのような脅威を与えているのか。彼らの行動がもたらすネガティブな影響は何か。あなたの説明に裏付けがあれば説得力が増します。ほかの人(別のチームの人など)がネガティブな振る舞いを目撃していないかどうか調べてみましょう。
ネガティブな振る舞いの頻度を記録しておくことも役に立ちます。リーダーシップコンサルタントのナンシー・ハルパーンはよい経験則を語っています──「1回目は目をつぶり放っておく。2回目は注意する。それでも3回目があれば、それはパターン化している証拠です」
たとえば、同僚がそれほど重大ではない些細な嘘をついても、あなたは無視できるかもしれません。しかし、嘘が繰り返されたり、害を及ぼしたりするようなことがあれば、行動を起こしましょう。
愚痴にしない
公平を期すために言えば、あなたには不満が多くあることでしょう。ただし、上司と話す時は、愚痴の多い人だと思われないようにしたいものです。嫉妬や復讐心から行動しているのではないことを明確にしましょう。上司と話し合いをするのは、同僚と良好な職場関係を築くためです。同僚を陥れる口実にしてはいけません。特に、社内政治家は上司とよい関係を築くことが得意です。上司が同僚からまったく違う話を聞いているかもしれません。また、あなた自身が問題を解決するためにこれまで何をしてきたかを、説明できるようにしておきましょう。
解決策を提案する
多くのマネジャーは、直属の部下が問題を持ち込んでくることを好みません。自分はすでに多くの問題を抱えていると思っているからです(このような主張が、チームが直面する最も困難な課題に耳を傾けないことにつながると指摘する専門家もいます)。あなたの上司もそのように考えていると感じる時は、あなたが直面している問題を説明し、考えられる解決策やアプローチを提案して、提案した解決策が持つ意味や影響について話し、そのメリットを議論しましょう。
たとえば、あなたが解決したい問題の一つが、同僚が手柄を横取りしていることであれば、手柄の分け方について3人で事前に合意しておくことを提案するのもよいでしょう。誰が上役にアイデアを発表するのか、誰が質問に答えるのか、誰が社内にメールを送信するのか、などの役割を決めることもできます。
私が著述家のレベッカ・シャムボーに教わった戦術の一つは、「what if」構文を使って考えることです。これによって、あなたと上司にとって見込みのある解決策について、より具体的に理解しやすくなります。シャムボーは次のように説明しています。
「『what if』戦術は、上司が一般的な提案をした時に、あなたが取りうる具体的な行動を提案しながら会話を深めることができます。(中略)『what if』戦術を使って上司をあなたの要求に巻き込めば、追跡と観測が可能な具体的な計画について、上司の賛同とコミットメントを得やすくなるでしょう」
あなたの場合、助けを求めても上司にはぐらかされる時は、次のように言ってみましょう。「コミュニケーションや手柄の分け方について、チームの規範を決めるのはどうですか」「チームの足かせになっていると思われる行動の具体例を、ここで3つ挙げてもいいですか」
アドバイスを求める
それでも上司が気難しい同僚に関わろうとせず、直接フィードバックをしようとしない場合は、上司が関与せずに状況をうまく切り抜ける方法について、助言はないかと聞いてみましょう。ユタ大学のケイティ・リルエンクイストとコロンビア・ビジネススクール教授のアダム D. ガリンスキーの興味深い研究によると、特に意見が合わない相手に助言を求めると、相手はあなたに好感を持ち始め、あなたの視点から物事を見るようになり、あなたの主張を支持するようになる場合があるといいます。
人事部門へ相談する
上司が前述のいずれの方法にも反応しない時は、さらに大きな問題に発展させることも考えましょう。この戦術がうまくいくかどうかは、あなたの組織の人事部門次第です。残念ながら、『チーム内の低劣人間をデリートせよ』の著者ボブ・サットンが私の著書のインタビューで語っているように「ほとんどの会社では、人事部門はあなたの友人になるためにいるのではありません。組織を守るためにいるのです」
同僚とのやっかいな関係を何とかしようと人事部門に訴えて、有意義な助けを得たという話は、私もあまり聞いたことがありませんが、それでも役に立つ場合もあります。人事部門に相談したらどうなるかを予想する方法の一つは、彼らが過去に同じような状況をどのように扱ったかという情報を集めることです。
とはいえ、非常に難しい戦術です。これと引き換えに得られるものを慎重に検討する必要があります。問題を大きくするとあなたの印象は悪くなるでしょうか。同僚に黙って行動したり、援軍を集めたりしたことが明らかになったら、同僚との関係はさらに悪化するでしょうか。
キャリアコーチのオクタビア・ゴレデマは、人事部門に相談することの長所と短所のバランスを考えるうえでよいアドバイスをしています。彼女は以下の3点を自問するよう提案しています。
・起きた出来事を記録しているか。ゴレデマの言う通り「自分の主張を明確に説明するためには、詳細な記録が必要です」
・自分の目的は何か。「行動を起こす前に包括的な目的を明確にしておくと、最善の対応から無関心な反応まで、起こりうる結果の意味を考えやすくなります」
・自分が経験していることは違法なのか。違法なら人事部門には助ける義務があります。あなたの場合、同僚の行動は違法な領域には達していないようです。この場合は人事に相談する前に「ほかのステークホルダーの支援を得られるかどうかを検討することから始めましょう」と、ゴレデマは勧めています。