
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
──前回の記事:「生存チャネル」が過熱すると、人は身動きが取れなくなる(連載第7回)
──第1回はこちら
「繁栄チャネル」がポジティブな感情を生み、コラボレーションを促す
前回、過熱しすぎた「生存チャネル」に対する解決策として、ひとつの「繁栄チャネル」という、より新しいメカニズムの存在について触れた(書籍『CHANGE 組織はなぜ変われないのか』も合わせて参照されたい)。
「繁栄チャネル」にも、レーダー・システムが備わっている。ただし、生存チャネルのレーダーと異なり、脅威ではなく機会に目を光らせる。このレーダーが新しいチャンスを察知すると、脳内の副交感神経系が活性化されて、生存チャネルとは異なる脳内化学物質(オキシトシンやバソプレシンなど)が放出される。
この場合、エネルギーは高まるが、急上昇するわけではない。不安や怒りよりも情熱や興奮が高まる。そして、視野が狭まるのではなく、逆にチャンスへの好奇心により、視野が広がることが多い。
みずからの当面の生き残りに関して不安を感じず、ポジティブな感情が高まると、人はコラボレーションに前向きになり、創造性とイノベーションが活発になる。この状態にある人の精神と肉体は、チャンスに向けて突き進む方法を見つけようとする。そして、ある程度前進できていると思えれば、燃え尽き状態に陥らずに、長期間にわたりエネルギーがみなぎった状態を維持できる。
今日の組織が十分なスピードで賢明な変化を実現するためには、多くのメンバーの生存チャネルが過熱することを防ぎ、逆に繁栄チャネルを活性化させる必要がある。しかし、さまざまな理由により、それは簡単ではない。
それが難しい最も根本的な理由は、過去数十年間に起きた変化により、概して人々の生存チャネルが過熱していることにある。これは、企業の最高幹部レベルから現場レベルまですべての層で見られる傾向だ。生存チャネルが過熱すると、繁栄チャネルがあっさり抑え込まれてしまう。