企業はどうすれば成長を続けられるのか
サマリー:『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)2024年6月号の特集は「企業はどうすれば成長を続けられるのか」です。変化の時代にあっても成長を続けるためには何を思考の軸にすればよいのか。4本の論考から考... もっと見る察します。 閉じる

「より速く、より大きく」だけが成長ではない

 私たちは目まぐるしいスピードで変化する時代を生きています。そのような中にあっても「成長し続ける」ことを求められるのですから、多くの企業が感じているプレッシャーは相当なものでしょう。そこで今号は「企業はどうすれば成長を続けられるのか」を特集テーマに、いまの時代に即した「成長」のあり方を問い直してみることにしました。

 特集1本目はハーバード・ビジネス・スクール(HBS)教授のゲイリー P. ピサノ教授による「自社の身の丈に合った成長を実現する法」です。目先の需要を満たして短期的な成長を遂げることの危うさに警鐘を鳴らし、自社に適した成長戦略の策定方法を説きます。

 特集2本目の「持続的成長を遂げる企業には優れた『仕組み』がある」では、米国企業2000社以上を対象にした研究をもとに、短期・長期双方の成長を両立している企業ほど高い収益を実現し続ける「仕組みづくり」に投資していることを示します。その仕組みを構成する5つの要素は、常に念頭に入れておきたいポイントです。

 特集3本目は「成長を止めないために投資すべき3つの組織能力」です。長年の経験で培ってきた直観ばかりを頼みにできなくなったいまの時代に、予測、適応、レジリエンスという3つの組織能力に社内のリソースをどのように配分すればよいのか、ヒントを示します。

 特集4本目は、YKKの大谷裕明社長へのインタビュー「YKKは経営哲学の力で持続的成長を実現する」です。いまや生産の9割超を海外が占める同社。事業規模が拡大しても持続的な成長を実現している背景には、「善の巡環」と呼ばれる同社の経営哲学が一貫して存在していることがうかがえます。

 さて、DHBRは新体制となり、わたくし常盤が編集長に就任いたしました。読者の皆様の課題解決に資する内容をお届けすべく編集部一同ますます知恵を絞ります。これからもDHBRにご期待ください。

(編集長 常盤亜由子)