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両立しがたきを両立させてこそ
マネジメントには、アンビバレントな状況が付き物です。「新製品を大々的にプロモーションしたいが、コストはできるだけ切り詰めたい」などはその典型例でしょう。マネジメント(management)の動詞形manageは「何とかやりくりする」という意味。あちらを立てればこちらが立たずという状況下でも、さじを投げずにやりくりしてこそマネジメントといえます。
このことは、昨今の働き方についても当てはまります。よりよい成果を出すためにはハードワークも必要です。けれど、それが行きすぎて心身を壊してしまっては元も子もありません。となれば、ここでもまさにマネジメントの技量が試されることになります。今号の特集「持続可能なハードワーク」では、働き方にまつわるアンビバレンツを乗り越えるための方策を探ります。
特集1本目「ワークスタイルの改革と事業の成長を両立させるために、経営者は何をすべきか」では、激務といわれるコンサルティング業界にあって、ワークスタイルを見直し業績面でも成果を上げているアクセンチュア ジャパンの江川昌史氏にお話を伺いました。氏が語る組織風土改革の道程は読み応え十分で、他の組織にも活かせるヒントが詰まっています。
特集2本目「マネジャーが健全なハードワークを続けるための心得」では、上司と部下に挟まれてストレスを抱え込みがちなマネジャーが健全なハードワークを続けるためにはどうすればよいのか、「コーチのコーチ」として知られるチームボックスの中竹竜二氏に尋ねました。
ハードワークも一つ間違えばワーカホリックに。思考や行動が仕事に支配されていると感じたら危険信号です。特集3本目の「ワーカホリックから脱却し自分の時間を取り戻す6つの方法」、4本目「働きすぎを助長する組織文化をいかに断ち切るか」ではそれぞれ個人と組織の視点から、ワーカホリックと決別するための実践的な手立てを示します。
さて、今号にはハイライトがもう一つ。2014年から4年にわたって続いた連載で、その後書籍化もされた「世界標準の経営理論」が本誌に戻ってきました。AI全盛時代のいまこそ経営理論の重要性が高まっていると説く入山章栄教授にナビゲートしていただきながら、思考の軸を身につけるクエストに出発しましょう。次号以降もどうぞお楽しみに。
(編集長 常盤亜由子)