アドビやイケアなど先進企業6社に学ぶDXの成功法則
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サマリー:デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは具体的にどういうものか、そして、どうすれば成功に導けるのか。DXの推進は多くの場合、自社が価値を創造する方法や戦略、従業員が業務を遂行するプロセスそのものを根... もっと見る本から見直すことを必要とする。本稿では、アドビやイケアといった、6つの先進企業の事例を取り上げ、各社が直面した固有の課題と、それをいかにして乗り越えたのかを具体的に分析する。 閉じる

6社の事例に学ぶ、DXの成功法則

 デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは具体的にどういうものなのか。そして、どうすれば成功に導くことができるだろうか

 DXは、その過程で組織の中核の探求、すなわち一種の自己分析を行うことになる。自分たちの本質を守りながら、どのように変化していくか。目的を貫きながら、新しいことを異なるやり方で進めるにはどうすればよいか。次々に登場する新しい技術をどのように導入し、適応すればよいか。

 これらの課題に対応するために、リーダーは組織の細部まで深く掘り下げつつ、より大きなビジョンを常に意識していなければならない。DXが悪名高いほど難しいのも当然だ。

 では、DXとは実際にどのようなことを行うのだろうか。まず、AIやクラウドコンピューティング、データ分析など新しい技術を理解して、それが自分たちのビジネスにどのように役立ちそうかを考える必要がある。ただし、トランスフォーメーション(変革)という言葉が示す通り、その変化は単なる新しいツールの導入より大きい企業価値を創出する方法や、その戦略、そして従業員が業務を遂行するプロセスを再考しなければならない。そして最後に、真の文化変革を導くことが求められる。

 このように挙げていくと怖じ気づくかもしれないが、避けて通ることはできない。技術の変化のペースは加速する一方だ。昨日の奇跡が明日の基準になる時代だ。したがって、DXは企業が鍛え方を覚えなければならない筋肉のようなものであり、完了することのないプロセスである。

 この課題にリーダーはどのように取り組むべきか。出発点の一つは、「他の企業はこれをどのように乗り越えてきたか」と問うことである。そこで、HBRのアーカイブを振り返り、6つの伝統的な企業がこのプロセスにどのように取り組んできたかを考察しよう。