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オフタイムを密度の濃い時間に変える
「われわれが手にしている時間は、決して短くはない。むしろ、われわれが、たくさんの時間を浪費しているのだ」――これは古代ローマの哲学者セネカの『人生の短さについて』の一節です。浪費などと言われると思い当たる節がある私などは思わず言葉に詰まってしまうのですが、なるほどたしかに、端から見ていて充実した人生だと感じられる人は、一日一日の"時間の密度"が濃い印象を受けます。仕事時間はもちろん、仕事から離れている時間にもそれは当てはまり、仕事時間と自由時間とが好循環を成しているように感じられるのです。
今号の特集「戦略的に休む」は、日頃DHBRが取り上げるオンタイムのテーマから趣向を変え、オフタイムをいかに浪費することなく、その後の人生やキャリアをレバレッジさせるために使うかに注目した企画です。
特集1本目「仕事と真剣に向き合う人だけが、余暇を有意義に過ごすことができる」は、ハードワーカーとして知られるファーストリテイリングの柳井正氏に、ビジネスパーソンが仕事以外の時間をどう過ごすべきかについて伺いました。目の前の仕事と真剣に向き合い、充実した時間を過ごすことが余暇の充実にもつながるという氏の言葉には重みがあります。
特集2本目「多忙の中に喜びを見出せる人は、どのように余暇を過ごしているのか」は、約2000人を対象にした調査から、満足感の高い人生を送るためには達成感、意義、喜びの実感という3つを定期的に感じる必要があること、特に欠乏しがちな「喜び」を感じるためには自由時間の長さよりもその使い方が肝要であることを指摘しています。
特集3本目「サバティカルを『最高の人生経験』にする方法」は、近年になり一般企業でも導入が進みつつある「サバティカル休暇」に注目します。実際にサバティカルを取得した経験を持つ人たちへのインタビューをもとに、日常の仕事から離れて過ごすまとまった時間を「最高の人生経験」に昇華するためのヒントが散りばめられています。
サバティカル休暇には興味があっても、まとまった期間仕事から離れるのは難しいというケースもあるでしょう。特集4本目「仕事のパフォーマンスを効果的に高める休憩の取り方」では、短時間の休憩を効果的に活用することで、集中力と活力を高め、仕事のパフォーマンスを向上させる方策を示します。
また、特集5本目「キャリアの『一時的な後退』という選択」は、家族の介護や健康問題、あるいは趣味の活動に一時的に打ち込みたいなど、さまざまな理由から仕事量を調整したいと思った時、「仕事に全力投球」でも「求職」でもない第3の選択肢として、キャリア上の「一時的な後退期」という考え方に注目します。
この先も続くキャリア人生をよりいっそう充実させるために、ぜひ今号の特集をお役立てください。
(編集長 常盤亜由子)