データを収益化する
サマリー:『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)2026年5月号の特集は「データを収益化する」です。生成AIの進化とともに、データの蓄積のみならず分析やインサイト抽出が容易になったことで、データの価値は高まり続けています。しかし実際には、多くの企業が社内に眠るデータからまだ価値を引き出しきれずにいるのも事実です。そこで2026年5月号の特集では、企業が単なるデータの利活用にとどまらず、自社ならではの模倣困難な強みを活かして収益化につなげるための道筋を考えます。

社内に眠るデータから価値を引き出すには

 調査会社のIDCによると、2025年における世界のデータ総量は181ZB(ゼタバイト)と推計されています。DVD1枚の容量が4.7GBだとして、181ZBはDVD約38兆5000億枚分に相当します。ちなみに同じソースによれば、「生成AI時代前夜」だった2021年における世界のデータ総量は約79ZB。この4年間で実に2.3倍近くに膨れ上がった計算になります。

 これほど飛躍的にデータ総量が増えた要因としては、動画コンテンツの爆発的な増加や企業データのクラウド化、そしてもちろん生成AIなどが挙げられます。特にAIツールの普及により、データの生成だけでなく、その分析やインサイトの抽出などが容易になったことは多くの方が実感するところでしょう。

 そうなると企業にとっての新たな焦点は、社内に蓄積されているデータからいかに新たな価値を創出するか。今号の特集「データを収益化する」では、単なるデータの利活用を超えたデータマネタイゼーション、つまりデータから直接・間接に収益を生み出すための手掛かりを探ります。

 特集1本目「富士フイルムはデータを起点に組織の『稼げる力』を高める」では、同社固有のデータの収益化に取り組む富士フイルムホールディングス社長の後藤禎一氏に、重点投資をする領域の見極めで特に重視している点について伺いました。

 続く2本目「データマネタイゼーションを実現する方法」は、3つの問いを起点にしながら、データ資産を収益につなげるための道筋を描きます。

 特集3本目「NTTドコモの実践:人流データを企業や社会の課題解決に結びつける」は、NTTドコモの「モバイル空間統計」に立ち上げから関わってきた鈴木俊博氏による論考です。携帯電話の位置情報データをもとに日本全国の人口動態を推計・分析する同サービスが今日の市場を築くまでにはどのような課題があり、その壁をどのように乗り越えてきたのでしょうか。

 さらに4本目「オムロンは『価値あるデータ』を活かし、顧客の課題解決に挑む」では、ものづくりで培った現場の知見を活かし、ハードウェア単体の提供から「モノ+サービス」を融合させたビジネスモデルへと転換を図るオムロンの取り組みについて、同社社長の辻永順太氏に聞きました。

 特集の締めくくりとして5本目にお届けする「優れた最高データ責任者はどのように価値を創出しているか」は、データの価値を可視化し、経営に還元するうえでCDO(最高データ責任者)が果たしうる役割について掘り下げます。

 最後に、DHBRは今年(2026年)で創刊50周年を迎えます。この節目を記念して、次号より「識者が示すマネジメントのこれから」と題するリレー連載がスタートします。こちらもどうぞお楽しみに。

(編集長 常盤亜由子)