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AIによる「自動化」か、「オーグメンテーション」か
AIをめぐり、CEOは戦略的な岐路に立たされている。AIによる自動化と人員削減を通じて利益の改善を目指すのか。それともAIによる拡張(オーグメンテーション)を通じて、革新的な方法で売上高を伸ばすことが最終的な目標なのか。ここ数カ月だけでも、著名なリーダーたちの判断は分かれている。
2026年2月、ツイッター(現X)の共同創業者兼元CEOであるジャック・ドーシーは、自身がCEOを務めるフィンテック企業ブロック(旧スクエア)の従業員を4000人以上──全従業員のほぼ半数──削減すると発表した。彼は株主向けのメッセージで、「インテリジェンスツールは、企業を構築して運営するという意味そのものを変えた」と述べ、他社も多くが年内に同様の結論に達するだろうとつけ加えた。
ドーシーのビジョンは、自動化を目指す典型的な例だ。リーダーたちは企業が現在と同じ仕事を、より少ない人員で継続できるようになると考えている。
フリーランス人材のマーケットプレースFiverr(ファイバー)を率いるミカ・カウフマンも、AIに関する厳しい予測で注目を集めた。彼は従業員に宛てたメールで率直に告げた。「不愉快な真実を伝えよう。AIはあなたたちの仕事を奪いに来ている。そう、私の仕事も。これは警鐘だ」
ただし、カウフマンは人員削減を宣言したのではない。AIが仕事を劇的に変えようとしており、全員がそれに適応する必要があると訴えているのだ。彼はCBSのインタビューで、「人間がとりわけ得意とする分野に時間を使えるようになる。非線形な思考、判断、センスに関する問題、意思決定、戦略的思考などだ」と語っている。従業員が反復的な業務をすべて自動化できたとしても、彼らをAIに置き換えるのではなく、むしろカウフマンは人間の潜在能力に賭けている。
実際には、多くの企業がドーシーの道を選ぶのではないかという兆候が見られる。つまり、自動化とコスト削減を念頭にAIツールを導入するのだ。ゴールドマン・サックスは、AIの活用を理由に、投資銀行部門の顧客企業の従業員数が今後3年間で平均約11%減少すると予測している。
また、8カ国で約8万人の労働者を対象に調査を行った「2025年インディード・ワークフォース・インサイト・レポート」によると、AIによって節約された時間の多くは、「同じ業務をさらに多くこなすこと」に充てられるか、他のプロジェクトに吸収されている。イノベーションや創造的な業務、顧客との関わりの拡大といった、真の意味でのオーグメンテーションを示唆する用途は、上位5件にも入っていない。
これはAIの可能性だけでなく、リーダーの現状維持バイアスを反映しているのかもしれない。AIを使って既存の業務を効率化することを想像するほうが、AIを使ってまったく新しい価値を創出するという未来を思い描くより容易である。
筆者らは心理学、経済学、コミュニケーションにまたがる研究と専門知識に基づき、自動化とオーグメンテーションは、それぞれ異なるものの予測可能な行動のダイナミクスと、それに関連するパフォーマンスの結果を生み出すと考える。具体的には、自動化の戦略は、オーグメンテーションに必要なより深い投資に比べて、早い段階で成果が出やすい。しかし長期的には、オーグメンテーションのほうが優れた成果をもたらすだろう。
過小評価されている「認識」の力
リーダーがAI戦略を展開する際は、単に新しいツールを導入しているだけではない。従業員に、「この組織に自分の将来はあるのかどうか」を問いかけているのだ。たとえば、ある従業員グループには成長への投資を約束しながら、効率化を名目に彼らの同僚を解雇することもある。そうした一貫性のなさは、組織は機会さえあれば従業員を切り捨てるのだろうという印象を与え、信頼を損なう。
企業の戦略的意図に対する認識は、瞬く間に広まるシグナルである。AIは従業員に力を与えるためではなく、最終的に置き換えるために導入されていると人々が感じる時、彼らの行動は変化する。
筆者らがこのように考えるのは、従業員の認識が彼らの仕事や職場環境をどのように形づくるかを研究してきたからだ。筆者ら3人の研究は、職場のウェルビーイングや、従業員の幸福感が売上げ、生産性、人材の定着と獲得に与える影響(デ・ネーブ)、人々がなぜ「ワークスロップ」(低品質なAI成果物)を生むのかなど、AIが職場における人々の思考、感情、パフォーマンスに与える影響(ニーダーホッファーとハンコック)に及んでいる。
従業員がAIや自動化、オーグメンテーションに関する自社の意図をどのように認識しているかを理解するために、筆者らは2026年1月、米国・カナダ・英国のフルタイムのデスクワーカー1294人を対象に調査を行った。彼らは勤務時間の50%以上をコンピュータの前で過ごす労働者で、テクノロジー、金融サービス、ヘルスケア、小売り、専門サービスを中心とする19の業種にわたり、一般社員、マネジャー、シニアリーダーが含まれる。
回答者には、自社がAIを導入する究極の目的について、「人々がより付加価値の高い、より創造的な、あるいはより効果的な仕事ができるように能力を拡張すること」「業務を自動化し、人員削減や新規採用の抑制などによりコストを削減すること」「わからない」の3つから選んでもらった。
注目すべきなのは、「自社がAIに関する何らかの計画を正式に発表した」と答えた人が44%しかいないことだ。全体では約62%が、「自社はAIの導入によって従業員の能力を拡張しようとしている」と回答した。一方、34%は「自動化が目的」だと考えており、4%は「わからない」と回答した。
ただし、この数字の裏には、役職レベル、業界、国によって大きなばらつきがある。小売業や専門サービスなどの一部の業界では従業員の約40~50%が、AIの導入が最終的に自分たちの雇用の安定を脅かすのではないかと感じている。さらに、自動化の意図を認識している従業員ほど、AIの導入を「奨励されている」というより「強制されている」と感じる傾向が強い。この違いは後述するように、単なる士気の問題に留まらない重要な意味を持つ。
他の調査では、リーダー層が従業員のAIに対する熱意を大幅に過大評価していることが窺える。最近のある調査では、エグゼクティブの76%が「従業員はAIの導入に前向きだ」と考えていたのに対し、実際にそう考えている従業員はわずか31%だった。








