今回のセミナー動画では、『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』10月号特集2「経営戦略50年の進化を10の視座から読み解く」について、筆者である琴坂将広氏(慶應義塾大学教授)に解説いただいています。実務の世界ではとかく「SWOT」や「ファイブ・フォース」などのフレームワークばかりが切り取られがちですが、それらを真に活用して自社に適した戦略を構築するには、フレームワークや個別理論の結論だけを表層的に取り入れるのではなく、半世紀をかけて積み重ねられてきた集合知として、この学問を捉えることが不可欠です。経営戦略の知の体系は、どの時代に、何を説明しようとして築き上げられてきたのか。同特集は10の視座をベースに展開されますが、本動画ではその一部をご紹介しつつ、フレームワークや理論の背景から自社が競争優位を確立するためのヒントを探っていきます。

■特集2「経営戦略50年の進化を10の視座から読み解く」

 近代経営学が急速な発展を遂げたこの半世紀は、世界中の経営学者がさまざまな課題と向き合い、乗り越えるべく、叡智を積み重ねてきた歴史にほかならない。新たな理論は既存の理論を否定するものではなく、層を成すように形成されてきた。
 本稿では、筆者らが経営の実務と研究の双方で培ってきた知見、およびオックスフォード大学を中心とする第一線の研究者の見解に基づき、経営戦略50年の進化を語るうえで欠かせない10の視座(パースペクティブ)を厳選した。10の視座から知の系譜をていねいにひも解くアプローチは、経営戦略論への理解をより深め、自社が競争優位を確立するためのヒントをもたらしてくれる。

【同特集で提示された「10の視座」 】
・視座1 経営の構造的把握(1950~1960年代)
 代表的フレームワーク:SWOT

・視座2 戦略的意思決定と企業の範囲(1960~1970年代)
 代表的フレームワーク:アンゾフ・マトリックス

・視座3 定量的な戦略分析(1970年代)
 代表的フレームワーク:BCGマトリックス

・視座4 外部環境分析:マーケット・ベースト・ビュー(1970年代後半~1980年代)
 代表的フレームワーク:ファイブ・フォース

・視座5 内部環境分析:リソース・ベースト・ビュー(1980年代後半~1990年代)
 代表的フレームワーク:VRIO

・視座6 知識と能力の動態(1990~2000年代)
 代表的フレームワーク:SECIモデル

・視座7 実践・行動としての経営戦略
 マイクロファンデーションと実践理論

・視座8 多層的境界の戦略
 リレーショナル・ビュー

・視座9 非市場・制度の戦略
 インスティテューション・ベースト・ビュー

・視座10 アルゴリズムとロボティクスによる新時代
 人間中心性という大前提に挑む

※セミナー動画では時間の都合上、すべての視座には触れられません。ご了承ください。ご興味のある方はぜひ同号や琴坂先生の著書『経営戦略の進化〈理論編〉』をご覧ください。

■解説ゲスト

琴坂将広(ことさか・まさひろ)氏
慶應義塾大学 総合政策学部 教授
小売・ITの領域における3社の起業を経験後、マッキンゼー・アンド・カンパニーの東京およびフランクフルト支社に勤務。北欧、西欧、中東、アジアの9カ国において新規事業、経営戦略策定にかかわる。同社退職後、オックスフォード大学サイードビジネススクール、立命館大学経営学部を経て、2016年より慶應義塾大学総合政策学部准教授、2025年より教授。東京大学社会科学研究所客員研究員、フランス国立社会科学高等研究院アソシエイトフェロー、一橋ビジネススクール特任准教授等を歴任。上場企業を含む数社の社外役員・顧問、及びオックスフォード大学サィードビジネススクールのアソシエイトフェローを兼務。専門は、経営戦略、国際経営、および、制度と組織の関係。慶應義塾大学環境情報学部卒業。博士(経営学・オックスフォード大学)。主な著作に『STARTUP』(NewsPicksパブリッシング)、『経営戦略原論』(東洋経済新報社)、『領域を超える経営学』(ダイヤモンド社)、監訳・解説書に『VUCA時代のグローバル戦略』(東洋経済新報社)など。最新刊『経営戦略の進化 理論編』(東洋経済新報社)は絶賛発売中。

※本動画は、経営トピックインプットセミナー(2026年9月25日)において配信されたものです。