これらの事実、つまり「日本人は、目上の人に対して意見したり反論したりするのに抵抗を感じやすい」という事実と、「多くのイノベーションは、組織内の若手によって主導されてきた」という事実は、日本人が組織的なイノベーションにはそもそも向いていない可能性がある、ということを示唆している。

 日本の組織(営利・非営利を問わず)においては、何かイノベーティブなアイデアを思いついても、それを意見や提案として組織内で提案したり意見したりしにくい雰囲気があるということだ。ここに、個人としては最高度に発揮される日本人の創造性が、必ずしも組織になると発揮されなくなってしまう大きな要因があると言える。

 ここまで、イノベーションが起こりやすい組織に見られる特徴として「リーダーシップスタイル」、「人材の多様性」、「上下間の風通しの良さ」について述べた。次回は「ネットワーク密度の高さ」、「失敗に寛容な文化」、「組織における遊びの存在」について述べてみたいと思う。