例えば代表的な会社が3M社である。3M社が研究職に対して、その労働時間の15%を自由な研究に投下してよいというルールを持っていることはよく知られている。随分、自由奔放に思われるかも知れないが、一方で、同社では過去3年以内に出した新商品が、売上高の一定比率を上回っていなければいけないといった厳しい規律を、管理職に課しているという側面もある。
つまり、同社では厳しい「規律」=「常に新しい商品が生み出され続けること」を実現するために、戦略的に「遊び」=「研究者はその労働時間の15%を自由に使って構わない」を盛り込んでいるのである。イノベーティブな企業では、仕組みや程度は異なるものの、この「規律」と「遊び」のバランスが絶妙なのである。
以上、前回とも併せて、「イノベーションを起こせる組織」に見られる特徴として「リーダーシップスタイル」、「人材の多様性」、「上下間の風通しの良さ」、「ネットワーク密度の高さ」、「失敗に寛容な文化」、「組織における遊びの存在」について述べさせて頂いた。次回は、ではこの様な組織を実現するために、どのような施策が必要なのかについてご説明したい。