日本でも近年活発化してきたNPO、NGOだが、海外に比べるとその存在感はまだまだである。海外でサステナビリティを推進しようとするならば、NGOとの連携は欠かせなくなる。彼らは、企業にとっていまや信頼できるパートナーなのである。

革新的な規制のデザインと達成による“振るい落とし戦略”

 サステナビリティの主要テーマである環境問題は、解決策として環境規制の立案と改正が活発に行われる特性を有している。環境規制はそれを満たさない企業の製品の流通や取引への参画を制限する一方で、環境規制をクリアした企業にとっては競争が緩和された市場をもたらす。

 欧米のグローバル先進企業は環境対応への取り組みと同時に、環境の規制作りにも積極的に取り組み、政府をも巻き込むことを基本としている。その方法は環境対応によって顧客から絶大な支持を集め、この顧客の支持基盤を世論として環境規制立案力へと展開させ、政府に意図した環境規制を作らせるというダイナミックなものだ。そして何よりも重要なポイントは、立案を目指す環境規制が保守的なものではないことだ。

 先進企業は市民が望む製品や社会像を描き、それが実現された姿を将来の規制としてデザインし、そこに向けて自社のみならず関わる全ての産業を革新させていくイノベーティブなアプローチを用いるところにある。そしてこの規制作りに大きな役割を果たすのがNGOだ。これは世界各国(日本を除く)同じである。NGOは企業に難易度が高い目標設定を求めると同時に、世論形成機能を果たしている。このようにNGOと企業は先進的な世界を作るという方向性の下で、意図しない協力関係が築かれていくのである。