サステナビリティ戦略の中核であるルール形成のアプローチ
このように、企業の環境規制への取り組みとはNGOの問題提起に積極的に飛び込み、自社が5年から10年後に圧倒的な競争優位を獲得できる先進的な環境規制をデザインする“ルール形成戦略”が本質なのだ。そして、ルール形成戦略を効果的に推進するうえで、NGOはかつてのような企業活動に対する批判者ではなく、革新的な法制化を実現するパートナーであるという認識を持って向かい合うことが必要である。彼らは解決策となる規制や法案の叩き台を自ら作成し、ジャーナリストや大学教授等を巻き込みながら科学的根拠や事実を集め、規制の妥当性を立証しながら人々の関心を高めていく。そして市民を徐々に巻き込んで世論を形成し、官僚や政治家に対して無視できない声へと発展させていくのだ。(図1参照)その過程でNGOは企業の力を問題解決に結集するという姿勢で対話を持ちかけるのである。
だがNGOセクターが育っていない日本企業にとってこうした動きは縁遠く、そのうえルールは従うものだという認識である。このままだと欧米企業のサステナビリティ戦略は大きな脅威となる。最終回となる第3回はルール形成戦略の立案と実行において、日本企業が克服すべき課題を明らかにし、日本企業がサステナビリティを制するために取り組むべきアクションを提示する。