2012年には、破壊的イノベーションがいくつも台頭した。共同消費サービスの雄であるAirbnb(エアビーアンドビー)は、いまやヒルトンよりも多くの宿泊を提供している。業務管理ソリューションを提供するワークデイの株式公開は、2012年で最も成功したものとなった。スクエアは、破壊的な決済ソリューションの競争で明らかなリーダーとなっている。アマゾンがキバシステムを7億7500万ドルで買収したのは、その破壊的な物流ソリューションが評価されたことを示している。ニューヨークタイムズ紙は、2012年を「MOOCの年」と呼んだ。大規模公開オンライン講座(ムーク:massive online open course)が本流として存在感を増し、教育をより手頃な価格で簡単に受けられるようになったからだ。最後に、2012年は無人飛行機(ドローン)が飛躍した年だった――その善悪は別として。
では、2013年に大きく前進する破壊的イノベーションは何だろうか。科学的な調査を行ったわけではないが、当社イノサイトのリーダーたち、そして当社の友人たちへのアンケートから、注目すべきトレンドとして次の4つが浮かび上がった。
1.3D印刷
本当に興味があるなら、マンハッタンにあるメーカーボットの店舗に行けば、あなたの頭部の3Dの複製をその場でつくってもらえる。そうすべき明確な理由があるかはともかく、それは個人製造の分野に転機が訪れつつある証拠にはなる。3Dシステムズ(大手プリンタメーカー)による一連の買収や、急速な価格の急速な低下、入手しやすいソフトウェアの開発、そして新たな原材料の登場などは、3D印刷がさらに本流に近づいていることを示している。3Dプリンタおよび関連するビジネスモデルは、価格を下げ威力を増し続けている。業界全体を覆す力を持った新たな破壊的ビジネスが台頭してくる可能性は高い。
2.物のインターネット化
何年ものあいだ言われ続けてきたが、いわゆる「スマートホーム」とそれを可能にする接続機器が、2013年にはついに本流に加わる準備が整うだろう。2012年の最も成功したイノベーションに、ネストのスマート・サーモスタット(消費者の行動を学習し、光熱費の削減を可能にする温度調節装置)がある。iPhoneとiPodの生みの親でもあるトニー・ファデルが創業したネストは、美しいデザインと賢い機能を発売1年間で大きな売上げに変えた。コントロール4やビビント(2012年、ブラックストーンに20億ドルで買収された)など、ホーム・オートメーションのサービスを提供する企業も急成長している。センサーの価格が下がり、スマートフォンやタブレット、高速無線インターネットが普及することで、新たなサービスが多数可能になる。