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変革を阻害する「行動の罠」
ビジネス・リーダーをつぶさに観察してきたこの50年間、経済、社会、環境はめまぐるしいスピードで変化した。経営者や学者が発表した調査、論文、文献、コンサルティング・プログラムは膨大な量に及び、新しい環境に適応するための方法が次々に提案されてきた。
ところが不思議なことに、それらの取り組みのほとんどが見落としていることがある。それは、組織変革、特に、とらえどころのない人間的側面の改革を阻害する4つの「行動の罠」である(図表1「リーダーが陥る『4つの行動の罠』」を参照)。
図表1
リーダーが陥る「4つの行動の罠」
1. 目標の設定があいまいである
重要な方向転換や新たな目標を提案する際、達成に向けた具体策をきちんと説明しなかったり、責任者を指名しなかったりする。
2. 部下に目標達成の責任を課さない
部下が自部門以外の業務に目を向けず、全社的業績への貢献を上司にゆだねるのを許してしまう。
3. 専門職やコンサルタントの助言を聞く
専門職やコンサルタントが結果への責任を負わないことを容認している。
4. 部下の自発的行動を気長に待つ
経営者が調整役を果たせば組織が発展するというものではない。むしろ障害になる。経営者は、リスクが少なく効果が早く出るような、小規模な戦略的試みを実施することで、これらを克服できる。
これら4つの罠は、経営者の心理に深く根差すものであり、また彼ら彼女らの不安を回避するメカニズムが働くため、本人が自覚することはきわめて難しい。要するに、経営者の自尊心を守り、不快感を予防するために機能しているのだ。
我々は、組織と社風の変革について多くの助言をしてきたが、何百というクライアントのリーダーたちが、繰り返し「行動の罠」に陥るのを目の当たりにしてきた。それはまた、リーダーたちが被る被害を軽減する方法を発見することにもなった。
そこで本稿では、経営者が陥りやすい4つの行動の罠について解説し、これを克服する方法を紹介しよう。