代官山蔦屋書店で米国版『VOGUE』より売れるライフスタイル誌

 2011年の創刊時にわずか250部から始まった『KINFOLK』は、写真と文章で構成されたシンプルなレイアウトが目を引く、独立系のメディアです。同誌のテーマは、「スモールギャザリング(小さな集い)」の大切さ。家族や地域のつながりを重視することで、コンフォートなライフスタイルを実現することといえます。

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今年6月からは日本版がスタートしたライフスタイル誌『KINFOLK』の最新号

 そんな雑誌が、今やアメリカを中心に世界30ヵ国で販売されるほど話題になっています。日本でも多くのオシャレ雑誌が並ぶ代官山蔦屋書店の洋雑誌売り上げランキングで、米国版『VOGUE』を抜いて1位となりました(今年6月には日本版もスタート)。

「かつてモード系のファッション誌を愛読していた人々は、今やこうしたインディペンデントなライフスタイル誌を手に取るようになっています。代官山蔦屋書店で1位になったように、日本でもアメリカでも、もっともオシャレで感度の高い層がファッション誌を読まなくなっているのです。この衝撃は大きく、『VOGUE』を発行するコンデナスト社は料理雑誌『bon appétit』の大胆なリニューアルを行い、『KINFOLK』に近い誌面づくりを意識しています。ただ料理を美味しそうに紹介するだけではなく、料理にまつわるライフスタイルも含めて提案するようになったんです」(菅付氏)

『KINFOLK』の成功は、ニューヨークだけに限らず、全世界的にコンフォートなライフスタイルが求められていることを証明しています。その影響は雑誌業界以外のところにも目立ち始めています。