「先が読めない」とは、従来のモデルや経験則では対処し切れない数の変数が存在しており、これら変数間の関係が把握できない状況にあるといえる。しかも、時間と共に変化するから、ますます性質が悪い。にもかかわらず、我々は慣れ親しんだモデルやフレームワークに頼ってしまい、多くの場合、失敗する。そのようななか、好不況の影響を最小限にとどめ、安定して好業績を続けている組織があり、特筆すべき共通点がある。それは「シミュレーション」である。これら「シミュレーションする組織」では、正解は状況が決定する。つまり、現在の変化に適した戦略や戦術、行動が検討される。だからこそ、失敗のリスクが低く、成功の確率が高い。本稿では、シミュレーションの必要性について再考すると共に、複雑な事業環境にふさわしい「マルチ・エージェント・シミュレーション」「モンテカルロ・シミュレーション」の特徴について紹介する。