ゴーン氏らに代表される「マーケティング・アクティビストCEO」

 ザ・マーケティングCEOと呼べないまでも、マーケティング活動に選択的に関わっている経営者が見受けられる。代表例は、GE(ジェネラル・エレクトリック)の元会長兼社長であるジャック・ウェルチ氏であろう。同氏は、GEというコングロマリットの総帥であり、自ら直接管轄する事業は持たなかったが、実際にはグループ内の様々な事業の経営に直接介入している。同氏は、「ある問題点に目を付け、それに『徹底介入』するということだ。課題を見つけ出し、そして自分の立場を活かして、その課題に答えを出そうとする行動である」と述べ、経営トップの立場を生かして、その時々に重要と思われる事業に徹底介入したという。

 具体的には、「数えきれないほどの社内会議に同席し、製品名から価格設定に至るまであらゆる相談に乗った。・・・工業ダイヤモンド、X線管、超音波画像診断装置、CNBCの看板番組・・・」。介入分野は、様々だったというが、引用にもある通り、マーケティングの具体的なトピックも含まれていた。企業のトップとして、その時々で緊要と思われる課題を特定し、その課題解決に会長の権威・権力や知見、経営資源を優先的に投入したのであり、その中にマーケティングの具体的な活動、例えば製品名や価格設定なども含まれていたということである。

 日産自動車のカルロス・ゴーン元社長、現ルノー日産会長兼CEOもマーケティング・アクティビストCEOと言えるかもしれない。彼は、「日産の場合、モデルのデザインを最終的に決定していたのは、どんなに良くても技術・開発部門のトップでした。現在では私自身が関わっています」と語っている。

 そして具体的には、「ライバル会社の自動車をテストするために、テストコースでエグゼクティブ・コミティの会議を開いています。もちろんそんなことをしたのは、私が初めてでした。それまで日産には『商品を重視する文化』が欠けていたのです。… デザインこそが車の売り上げを大きく左右するからです」と述べている。自動車会社のトップが、デザインという切り口を選択して個別商品の開発に直接関与している様子がよくうかがえる。その背景には、自動車の機能などよりもデザインが車の売り上げを大きく左右するという基本戦略がある。同氏がリーダーシップを取って以来、同社のデザイン革新が大きく進んだと言われている。