この施策が産み出したダイナミズム
何しろエグゼクティブは人を評価する力にかけては誰よりも鍛えられている。よって、彼らに若い教員を評価させると、コミュニケーション能力が高く、難しいことを易しく説明する能力が高く、受講するエグゼクティブの言う新しく現実で起こっていることに真摯に耳を傾け、そこから学んで理論化したり深めたりすることができる教員を高く評価する。そして逆に、単なる論文量産ゲームを行っている教員は評価されないので、それを評価してくれる他の大学に移るという秩序を作ったのである。若い頭脳とエグゼクティブの相互触発による変化と質の向上のメカニズムである。
また一方、第3回で詳述するが、学生を委員とした入試方式とチームアプローチの教育方法により、採用担当者に評判の良い卒業生をシステマティックに輩出することになった。その仕組みとアレン・センターによるビジネスコミュニティとのパイプが就職を好転させ、人気が向上し、優秀な学生が入り、さらに就職がよくなるという好循環が生まれるのである。
(第3回につづく)
※次回は9月7日(月)公開予定
【連載バックナンバー】
第1回:変革リーダー、ドン・ジェイコブスの素顔