谷本さんが大切にしている思いは「心・育・夢」。

「はじめに紙をこすっていたのは、念力を送っていたんです(笑)。最初は、土があって、太い樹の幹があって、そこに葉が生い茂っている絵を描きました。土の部分は愛情です。樹の周囲は環境や仲間を表しています。葉の部分は自分が培ったもの。これは柔道にも、生きていくうえでも必要なことでもあると思います。そして、幹と葉の部分を『がんばれ、がんばれ』という思いを込めながら一生懸命こすりました。でも、思いを込めてこすればこするほど、幹と葉が消えていってしまうんです。これは、少しくらいの頑張れでは、効かないってことなんだな、と思って。もっともっと思いを込めながらずっとこすり続けたら、こういう絵になりました。」谷本さんの絵のタイトルは「光へ」。

「はるか昔、絵には祈りの意味もあったんですよ」というKUNIさんのコメントに、一同心から納得しながら、大きな拍手。「この絵を描いて、私の中で世界選手権が終わりました」と、谷本さんはスッキリとした笑顔を見せました。

 谷本さんの言葉を聞いた教え子のおふたり。浅見さんはこう言います。

「歩実先生の絵を見て、すごく思いが伝わってきました。私もその思いに乗って、がんばりたいなと思いました」

 一方の田代さんは、絞り出すように、「歩実先生の熱い思いが伝わってきました。絵って深いですね」。

 最後は、そんなやりとりを目を細めて聞いていた、柔道部顧問でもある坂根さんの番。参加者から出たイメージは「極める」「頂点」「いちばん・上を目指す」「塔・タワー」といったものです。坂根さんはどのような絵を描いたのか。そこに込められた思いとは。DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー11月号に掲載されていますので、ぜひご覧ください。