では、必要な物事を必要なときに手に入れるためにはどうすべきだろうか。私と同僚の研究をふまえ、頼み方について実践的なアドバイスを以下に示したい。

 ●まずは頼んでみる

 最もよくある過ちは、頼む前から尻込みしてしまうことだ。

 ●直接的な言葉で伝える

 もう1つのありがちな過ちは、ヒントをほのめかし間接的な言い方で頼むことだ。「ねえボブ、今週末は何をしているの? 私は大きなプロジェクトに取り組む予定なんだけど。もう少し人手があればなぁ……」

 このように頼めば失礼に響かず、依頼に同意してもらえる可能性が高くなると私たちは考えがちだ。だが研究では、人は率直な依頼に対して、より前向きな反応を示すという結果が示されている「ねえボブ、今度の週末にもしも時間の都合がつくなら、プロジェクトを手伝ってもらえないかな?」

 ●1度断られた人にも、再度頼んでみる

 以前に断られた人には頼むべきでない、というのもありがちな思い込みだ。1度ノーと言ったのだから、2度目も同じ答えが返ってくるだろうと考えるのは無理もない。

 だが我々の別の研究では、この思い込みが必ずしも正しくないことが示されている(英語論文)。実際には、1度断った人はそのことに罪悪感を感じているため、次の依頼にはイエスと答える可能性が高い場合がある。

 ●見返りは必要ない

 最後に、私たちは依頼に応じてくれた相手に対し、何かお返しをする必要があると考えがちだ(手間賃として数ドル、など)。しかし私の研究によれば、人はある種の依頼に対して、報酬の有無にかかわらず応じる傾向がある。他者を助けるために何かができるという事実に、心地良さを感じるからだ。

 人はみずからの影響力の大きさや、その最も有効な使い方について、誤った思い込みを数多く抱えている。しかし幸い、現実はその思い込みほど厳しくない。シンプルで率直な依頼は、私たちが思うよりもはるかに有効なのである。


HBR.org原文:You’re Already More Persuasive than You Think August, 03, 2015.

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