ステップ2:ストレスを引き受けて背負う
私たちは大切な物事に対してこそ、より多くの、より激しいストレスを感じやすい。このことを認識するのが、ストレスを「背負う」うえでカギとなる。ストレスによって、自分にとって大事なこと、重要な何かが懸かっていることが明らかになる。それを自覚すれば、前向きな意欲が引き出される。なぜなら誰もが心の底では、「重要な物事は簡単にかなうわけではない」とわきまえているからだ。
この状態を表すために我々がしばしば使う暗喩は、「エベレストの斜面で過ごす、寒くて暗い夜」だ。エベレスト登山の最中であれば、その行程には寒くて暗い夜があるはずだ。公園を散歩するように簡単にいくなど、期待できるわけがない。子を育てること、会社を経営すること、世に影響を及ぼすような人生を送ることは、たやすいなどと本気で期待できるだろうか。ストレスを背負っても寒くて暗い夜は消えない。だが、それは意欲と意義を見出すことにつながり、夜を耐え忍ぶことができる。
元米海軍特殊部隊シールズ中佐のカート・クローニンは最近、我々にこう語った。「部隊の上層部は、訓練で設定する状況を、いかなる戦闘作戦よりもはるかにストレスに満ち、混沌として変化が激しいものにします。これにより、チームは最もきつい環境で心身の統一を図ることを体得するのです。訓練のストレスが耐え難く思える時、我々はそのストレスを背負うことができます。結局のところ、これこそ自分たちが選んだ道であるとわきまえているからです。そして、いかなるミッションにおいても成功できるチームの一員になることを、望んでいるからです」