グローバル・ビジネスリーダーの育成プログラム 

 GBL育成プログラムと言っても、会社ごとに実に様々なプログラムがある。しかしながら、筆者の経験によると、大半のプログラムは、表2の6つのモジュールの組み合わせである。

モジュール① 社内ネットワーキング

目的: 社内におけるネットワークづくり

手段: 本社幹部との懇談、メンバー間のチームビルディング、異文化コミュニケーションなどのプログラムを通じて行う。

モジュール② 基本的経営知識(ミニMBA)

目的: 基本的な経営知識の習得

手段: 「戦略」、「マーケティング」、「財務・会計」、「組織・人事マネジメント」など、ビジネススクールで教える基礎科目のダイジェスト版。手に入りやすい一般的ケーススタディーを使用することが多いが、最近は自社ケースを使用する会社も増えつつある。

モジュール③ 企業理念

目的: 自社の理念を学び、理解する

手段: 多言語に訳された企業理念や社史のテキスト。創業者自身あるいは創業を良く知るOBなどの談話を通じて行う。企業理念を重んじている会社の多くで、GBL育成プログラムのためのエバンジェリスト(企業理念伝承者)を任命している。

モジュール④ 自社戦略

目的: 自社戦略の理解と情報共有

手段: 本社の幹部によるプレゼンテーションと質疑応答が中心。社内会議的な運営で行う。

モジュール⑤ アクションラーニング

目的: 自社の戦略的課題に対する解決策の策定、提案

手段: 自社の戦略テーマ、あるいは組織改善テーマを受講者に与え、グループワークで解決策を策定させる。最終的に本社幹部に対して、解決策を提案する。

モジュール⑥ リーダーシップ開発

目的: 受講者のリーダーシップの向上

手段: 360度評価などを使用し、コーチによるフィードバックを、コーチングを通じて行う。

 育成プログラムでは、6つのモジュールすべてを実施するわけではなく、各社ごとGBL育成の目的に合わせて、紹介したモジュールを2~4個、組み合わせているのが実態だと言える。